ファクタリング会社は資格不要?違法業者の特徴と見つけ方を解説
多くの中小企業や個人事業主の資金不足をサポートするファクタリング会社は近年、徐々に増えています。
融資と同じく資金調達方法であるファクタリング業ですが、実は資格や免許がなくても営めるサービスです。
そのため、ほかの資金調達方法に比べて参入障壁が低く、違法業者が紛れやすいのも事実と言えます。
本記事では、ファクタリング会社が資格を持たない理由や、貸金業との違い、違法業者の見つけ方を解説します。
目次
ファクタリング事業を営むのに資格は必要ない
ファクタリング事業は、資格や免許を持たずとも営めるビジネスです。
経済産業省の推奨もあり、ここ数年で需要が急激に高まっているサービスですが、いまだに業者を取り締まる法律が整っていません。
売買契約であり、金銭の貸し借りではないため、貸金業登録をせずとも取り扱うことが可能です。
ここでは、貸金業との違いや、ファクタリングに関する法律について解説します。
貸金業との違い
一般的に資金調達と言えば、金融機関による融資を思い浮かべるはずです。
銀行は銀行法、貸金業者は貸金業によって貸付に関する規則があり、資格を持たなければ事業を営むことができません。
一方で、ファクタリングは売掛債権を買取り現金を渡す債権の売買であり、融資ではありません。
したがって、銀行法や貸金業法、利息制限法、出資法などの法律が適用外となります。
メジャーな資金調達方法である融資は、法整備が行き届いており、ヤミ金業者への取り締まりも年々厳しくなっています。
そこでヤミ金業者が目を付けたのがファクタリングです。
ファクタリングに関する法律
ファクタリングは融資や出資に該当せず、取引に関する法律がなく、妥当性は民法に委ねられています。
民法第466条「債権の譲渡性」、民法第467条「指名債権の譲渡の対抗要件」、民法第555条「売買契約」にもとづいて業者は運営しています。
ただし、融資の上限金利や総量規制のような手数料・利用額に関する規則はありません。
民法にもとづく法的根拠があるファクタリングですが、手数料や利用額については各業者に委ねられています。
資格不要のファクタリングは違法?
資格が必要ないファクタリングは、違法なサービスではと疑う人も少なくありません。
しかし、民法で認められている仕組みであり、経済産業省も融資の代用としてファクタリングによる資金調達を推奨しています。
とはいえ、業者が資格を持たない以上、怪しく思うのは当然のことでしょう。
大手企業や大手銀行も運営しているファクタリングですが、一部の違法業者が起こした事件が悪い印象を抱かせる原因になっています。
それでは、ファクタリング業に資格が必要ない欠点とは何でしょうか。
資格が必要ない欠点
ファクタリング会社が資格不要で事業を営める欠点としては、違法業者との違いが分かりにくい点でしょう。
貸金業の場合、無資格・無許可で開業や営業をおこなうと罪に問われます。
そこで、資格が必要なファクタリング会社を装い、法外な金利による貸付や悪質な取り立てをおこなう違法業者が現れ始めました。
開業がしやすいと、もし違法行為が見つかっても廃業し、再び開業すれば摘発を逃れやすくなります。
合法と違法の境目が曖昧なファクタリングは、金融庁や消費者庁も違法業者の存在を警告しています。
このように、違法性がなくても疑われてしまう点は資格がないがゆえの欠点と言えるでしょう。
ファクタリング会社が貸金業登録をすべきケース
ここでは、ファクタリング会社が貸金業登録をすべきケースを3つ紹介します。
・償還請求権付きの契約
・分割払いに対応している
・支払期日を手数料で延ばせる
それでは、順に解説します。
償還請求権付きの契約
ファクタリングは原則として償還請求権がない契約で取引をおこないます。
償還請求権付きの契約内容だと、事実上の貸金に該当するため、貸金業登録が必要となります。
償還請求権が付いている場合、売掛先の倒産によって売掛金が未回収となった場合、利用者は買戻しをおこなわなければなりません。
実際、償還請求権付きの契約でファクタリングを提供した無許可の違法業者が逮捕された事例もあります。
分割払いに対応している
分割払いは貸金業登録をしている業者しか取り扱うことはできません。
したがって、ファクタリング会社では原則として一括払いのみとなります。
しかし、資金不足に困っている利用者に甘い誘惑として分割払いも可能だと謳う業者もなかには存在します。
分割払いに対応しているファクタリング会社がいる場合、貸金業登録をしているかどうか確認してみましょう。
支払期日を手数料で延ばせる
支払期日に間に合わない場合、手数料と引き換えに期限を延ばす行為を「手形ジャンプ」と呼びます。
一見、利用者に優しい仕組みのようですが、この場合に支払う手数料は利息や利子のようなものですので貸金業に該当すると捉えられます。
そのため、貸金業登録をしていない業者が手形ジャンプを勧めてきた場合には、十分に注意が必要です。
資格不要なファクタリングにおける違法業者の特徴
資格不要なファクタリングにおいて、下記のような業者は避けてください。
・会社の情報が不透明
・契約書がない
・手数料が高すぎる
・契約内容が貸金業に該当している
・評判が悪い
ひとつずつ解説します。
会社の情報が不透明
通常、ファクタリング会社の公式サイトでは会社名や代表者名、所在地、電話番号、メールアドレスなどの情報が公開されているはずです。
もし、会社の情報が一切公開されていない場合は違法業者の可能性が高いでしょう。
また、仮に記載してあっても架空のものである可能性もありますので、正しい情報かどうかの見極めが重要です。
契約書がない
契約書がない、もしくは契約書の控えを渡さない業者は避けるべきです。
契約書は法的な証明書とも言えますので、後々のトラブルに備えて保管すべき書類です。
口約束での取引は非常に危険ですので、必ず契約書を作成してもらいましょう。
また、契約締結後には必ず控えももらうようにしてください。
手数料が高すぎる
手数料に関する規則がないとはいえ、相場より明らかに高い業者には注意が必要です。
2社間ファクタリングの場合は10〜30%、3社間ファクタリングの場合は2〜9%が手数料の相場です。
もし、この数値より大幅に高い手数料を提示してくる業者がいれば、違法業者ではと疑って下さい。
仮に違法業者でなくても、手数料が高い分だけ自身が損をしますので、できるだけ手数料は低いファクタリング会社を選ぶべきです。
契約内容が貸金業に該当している
契約内容を確認し、貸金業に該当している場合は違法業者の可能性が高いでしょう。
利息や利子の請求や、担保・保証人の要求、分割払いの対応など、貸金業登録が必要な取引内容でないか必ず確認しましょう。
とはいえ、契約内容を隅々まで確認するのは難しいかもしれません。
最低限、契約書の名前は確認しておいてください。
ファクタリングを謳いながら、債権売買契約でなく、融資契約になっている場合、間違いなく偽装ファクタリングであると言えます。
評判が悪い
評判が悪い業者は違法業者の可能性があります。
ネットの口コミは匿名性が高く、すべての情報を鵜呑みにしてはなりませんが、明らかに評判が悪い業者は避けるべきです。
優良なファクタリング会社ほど利用者の評価を気にしており、丁寧な対応を心掛けているものです。
しかし、担当者の対応や事務所の雰囲気が悪かったり、良くないうわさが多かったりする業者は利用者をカネとしかみていない悪質な業者である場合が多いでしょう。
違法なファクタリング会社が分かる問い合わせ先
ここでは、違法なファクタリング会社が分かる問合せ先を3つ紹介します。
・日本ファクタリング業協会
・日本貸金業協会
・貸金業登録業者検索
貸金業登録をしているからといって、必ずしも信頼できる業者とは限りません。
違法業者は架空の登録番号や他の登録者を装い、あたかも正規登録者のように振る舞うのです。
少しでも怪しいと感じたり、不信感を抱いたりしたら、その業者をこれから紹介する問い合わせ先で調べてみてください。
日本ファクタリング業協会
日本ファクタリング業協会は、違法業者による悪質行為が目立つようになったことから業界の自主規制を目的に設立した団体です。
金融庁や貸金業協会、警察などと協力し、令和元年9月に「ファクタリング業法法制化準備委員会」を設立するなど、安全なファクリング環境を整えています。
ファクタリングを装う違法業者の相談や苦情、質問は公式サイトから気軽に問い合わせ可能です。
日本貸金業協会
日本貸金業協会が運営する「ヤミ金(悪質業者)の検索」というサービスを利用できます。
ヤミ金業者の名前や電話番号、住所、FAX番号が検索可能で、令和元年10月時点では986件もの違法業者が検出されています。
また、被害内容や勧誘手口なども確認可能です。
もし現在利用しているファクタリング会社や、利用を検討しているファクタリング会社に不信感を抱くようでしたら、一度確認してみてください。
貸金業登録業者検索
貸金業登録業者検索では、貸金業登録をしているかどうかを簡単に確認できます。
貸金業登録番号を偽装している業者も見分けることが可能です。
架空の番号を使用している場合は検索結果で表示されませんし、番号を偽装しているなら検索結果で表示された社名と一致しないはずです。
ファクタリング会社と謳いながら、金利や保証人、担保を要求してきたり、契約内容が融資契約であったり、分割払いに対応していたりする業者がいたら一度検索してみてください。
まとめ:資格不要なファクタリングでは業者選びが重要
この記事では、ファクタリング会社が資格なしで運営している理由や違法業者の見つけ方を紹介しました。
法整備がいまだなされていないファクタリングは、資格や免許を持たずともサービスを提供できます。
法的根拠がある安全なサービスではありますが、一部の違法業者が起こした事件をきっかけにイメージダウンしてしまったのも事実です。
資格不要なファクタリングを利用する際は、慎重に利用する業者を選びましょう。
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