ファクタリングができる業種とできない業種は?向く事業者についても解説
ファクタリングは柔軟な資金調達を可能にする方法です。ただ、業種によって利用できる・できないが変わってくる他、仕事・債権との相性もあります。
この記事では売掛金などの早期現金化サービスを利用できる業種とできない業種について解説します。
目次
ファクタリングができる業種とできない業種はある?
ファクタリングとは債権をサービス提供会社に譲渡・売却することにより現金化する方法です。売掛金などを使った資金調達方法として会社や個人事業主などによく使われています。
ファクタリングができる業種は基本的に全業種です。ファクタリングの対象になる債権を持っている事業者であれば、問題なく売掛金などを売買して資金調達できます。結論は「できる業種は全てで、できない業種は基本的にない」になります。
ただ、できる業種とできない業種について考える場合、4つのポイントに注意が必要です。
利用条件により使えないことがある
基本的にすべての事業者が使えますが、ファクタリング会社が提示している利用条件によっては使えないことがあります。
たとえば「個人事業主はNG」という利用条件を提示していれば、どのような仕事をしているかに関わらず個人事業主は使えません。また、「建設業に特化」との利用条件であれば、他の仕事をしている会社は使えない可能性が高いと言えるでしょう。
審査落ちで使えないことがある
ファクタリングを使うためには各社に申し込んだ後に審査を受けなければいけません。できる業者とできない業種に関わらず、審査落ちによって使えない可能性があります。
ただ、ファクタリングの審査基準は融資とは異なります。審査の対象になるのは債権の内容や取引先の信用度などです。申込者の状況や信用度はあまり関係ないため、一般的に融資よりファクタリングの方が審査パスしやすくなっています。
事業者によって向き不向きがある
ファクタリングができる業者かできない業者に関わらず、それぞれの会社の主な仕事内容によってサービスの利用が向いているかどうかが変わってきます。たとえば建設業者には向いていますが、ナイトワークの会社などは向いていません。
会社ごとの向き不向きについては後の見出しで詳しく説明します。
事情によっても向き不向きがある
資金調達に至る事情によっても向き不向きがあります。
たとえば、すでに融資を使っており、さらに資金調達したいと考えていました。ただ、資金調達は成功させたくても負債は増やしたくないと考えていました。このようなケースではファクタリングの利用が向いています。
この他にファクタリングの利用が向くのは次のようなケースです。
・即日など急ぎで資金調達したい
・資金調達したいが負債を増やしたくない
・担保や保証人を準備できない
・融資と併用できる資金調達方法を使いたい
・手元に複数の売掛金があり債権管理に苦心している
・取引先の経営に不安があり、債権を売却することでリスク対策をしたい
逆に向かないのは「債権がない」「債権があっても取引先の信用度が低い」などのケースです。
ファクタリングは債権の譲渡・売却による資金化なので、そもそも売掛金などがないと使えません。売掛金などがないとケースでは向かないと言うより、利用できないわけです。
債権を支払う側(取引先)の信用度が低い場合、ファクタリング会社は「回収できるか不安だ」と考えるため、
ファクタリングができる業種の中で向く事業者とは
ファクタリングできる業種の中にも向き不向きがあります。
特にファクタリングでの資金調達が向いているのは次のような事業者です。
建設業者はファクタリングに向いている
建設業にはファクタリングでの資金調達が向いています。建設業は債権を使った資金調達を有効活用できる業種だと言えるでしょう。
なぜかと言うと、建設業は仕事の着手の際の資金や、仕事中の資金繰りに困るケースが多いからです。建設業の仕事期間は長期であることも多く、仕事を完了させなければ支払いを受けられません。そのため、仕事の着手のときや仕事期間中などに、必要に応じて柔軟に資金調達できる方法であるファクタリングが向いているのです。
建設業はファクタリングができる業種であり、さらに有効活用できる業種になっています。
IT事業者も有効活用できる業種である
ITや通信の事業者もファクタリングの有効活用が期待できる業種になっています。
ITや通信系の事業者はバグなどの関係で唐突に納期が変更になるなど、仕事に関する支払いに変更が生じやすい業種なのです。
たとえば3月7日に取引先に支払いがあったとします。2月末日に完了する仕事の支払いで3月7日の仕事の支払いに対処しようと考えていました。しかし、突然バグが発見されたため、2月末日の支払いが延期になってしまいました。結果、資金繰りと取引先への支払いに困ることになったのです。
このようなケースが考えられることから、柔軟に現金を確保できるファクタリングはITや通信系の会社向きになっています。
製造業も利用に向く事業者である
製造業の事業者は商品を製造するために材料を準備しなければいけません。材料などの準備するタイミングでどのように資金を用立てるかが問題になるのです。また、急に大量の受注があった場合は製造に使う機器を増やすことなども検討しなければいけません。
製造業でも柔軟な資金調達が必要になります。そのため、製造業もファクタリングを有効活用できるのです。
運送の事業者も有効活用できる業種である
運送業は急な出費が発生しやすい業種です。そのため、運送業の事業者は、ガソリン代の負担や車両の修理代といった出費に柔軟に対応しなければいけません。ファクタリングは資金に困ったときに債権を適宜資金化できる方法なので、運送業においては急な出費対策になります。
運送業はファクタリングを有効活用できる業種です。
医療系の事業者もファクタリングが向く
病院などの医療系の事業者にも債権を使った資金調達は向いています。
病院などの場合、治療したからといって支払いをすぐに全額受け取れるわけではありません。病院の支払いは健康保険が関係してくるため、まずは患者の加入している健康保険に応じて何割かの支払いを受け、それから健康保険側から支払いを受けるという流れになっています。
健康保険側から支払いを受けるまで時間がかかることから、病院などは資金繰りに苦慮することも珍しくありません。健康保険から支払いを受けるまで時間がかかることから資金繰りに困ることも多い病院などの医療系の組織・事業者は、柔軟に現金を確保できるファクタリングと相性が良いと言えるでしょう。
ファクタリングができる業者の中で向かない事業者とは
ファクタリング自体はできる業者なのに、債権を使った資金化の利用が向かない事業者も存在します。なぜ向いていないのでしょうか。
売掛金などの譲渡・売却ができない、あるいは利用がむずかしい業種について説明します。
①ナイトワークや風俗系の事業者
ナイトワークや風俗系の事業者の場合、ファクタリングの申し込みをしても断られることが少なくありません。風俗系やナイトワーク系の事業者は反社会的勢力との関連が疑われる他、公序良俗に反するケースもあるからです。
これらの会社だからと言ってファクタリングが一切できないというわけではありませんが、基本的に利用は難しくなっています。
②ナイトワークや風俗系の関連会社
風俗系やナイトワーク系の関連会社も同じく申し込みをしても利用できない可能性があります。理由は風俗系やナイトワーク系と同じで、反社会的勢力との関連が疑われるケースがあったり、公序良俗に反するケースがあったりするからです。
ただ、これらの会社はナイトワーク系や風俗系の仕事そのものではないため、利用できないかどうかはあくまでケースバイケースです。たとえば、風俗店が主な取引先である酒屋や花屋などは警戒され、ファクタリングを利用できない可能性があります。
③現金払いのみに対応している
ファクタリングは債権の譲渡・売却による資金化です。したがって、売掛金などを使わない取引(現金払いのみ)にしか対応していない事業者はサービスを使えません。
現金払いのみに対応している個人商店などは利用できない可能性があります。
④個人間での取引のみに対応している
個人間のお金の貸し借りなどの債権について債権の資金化の対象外だと考えた方が良いでしょう。個人間での取引は契約書がないなど不透明なことも多いため、ファクタリング会社は基本的に買い取ってくれません。
また、ファクタリング会社によっては、会社と個人事業主・フリーランスとの債権については信用度などの関係から「取り扱いできない」という条件になっていることがあります。個人事業主やフリーランスとの債権は利用できないという条件を提示している場合は、売掛金などの現金化はできません。
いずれにしろ個人間や個人との債権はあまりファクタリングに向きません。
⑤飲食店とはサービスの相性が悪いことも
飲食店は毎日のように小さな支払いが発生する業種です。現金払いの小さな支払いばかりというケースでは、基本的にファクタリングの利用はできないのです。
ただし、クレジットカード決済に対応している場合はファクタリングを利用できる可能性があります。クレジットカード債権の買取に対応している会社があるからです。
飲食業界自体がファクタリングを利用できないのではなく、利用できる・できないは店によってケースバイケースになっています。
⑥小売業も相性が悪い可能性がある
小売業での小さな取引では現金払いがよく使われています。現金払いの売掛金などは基本的にファクタリングの対象外になっていることが多いため、小売業はサービスを利用できない可能性があります。
ただ、小売業だからと言って絶対に利用できないわけではありません。あくまで現金払いなどは対象外になるわけで、会社との売掛金の取引などは必要書類があれば譲渡・売却に対応してもらえる可能性が高いと言えます。
小売業は現金払いの少額の取引が多いことから、サービスの利用ができないケースがあることは知っておいた方が良いでしょう。
⑦反社会的な組織や会社
反社会的な組織や会社は利用に向かないと言うより、そもそもファクタリングを利用できません。たとえば、会社が反社会的勢力との関与が疑われている取引先との債権を現金化しようとしても、「うちでは買取できない」として断られてしまいます。
また、申込者である事業者の反社会的勢力との関与が疑われるようなケースでもサービスの利用は原則的にできません。
ファクタリングができる業種とできない業種は?向く事業者などのまとめ
ファクタリングは売掛金などの債権を状況に応じて譲渡・売却できる資金調達方法です。必要に応じて売掛金などを現金化することで柔軟な資金調達が可能になります。
ただ、すべての業種がファクタリングを利用できるわけではありません。中には相性の悪い仕事や、そもそも利用できない仕事があります。利用できる・できないは取引や会社によってかなり違ってきますので、まずはサービスへの理解を深めることをおすすめします。
また、サービスを提供する会社側によって利用条件や買取対象が異なりますので、ホームぺージや利用条件をよく確認することをおすすめします。