ファクタリングは銀行通帳なしで利用できる?必要性や注意点を解説
ファクタリング契約を結ぶ場合には、いくつかの書類を提出しなければいけません。
ファクタリング業者によって、どういった書類を求められるかは変わりますが、「銀行通帳」「身分証明書」「請求書」の3つの写しは、ほぼ必須です。
では、通帳のコピーを提出できない場合は、ファクタリングはできないのでしょうか。
この記事では、通帳なしファクタリングができるのかどうかを説明します。
ファクタリングで通帳のコピーが必要になる理由についても解説しますので、参考にしてみてください。
目次
通帳なしでもOKなファクタリングサービスはある?
ファクタリングでは、さまざまな書類の提出が求められますが、その中でも銀行通帳のコピーは、重要なものです。
銀行通帳なしで取引してくれるファクタリング業者はほぼありません。
ただし、銀行通帳なしでできるファクタリング業者が皆無というわけでもなく、探せば見つかるでしょう。
しかし、銀行通帳なしで利用できるファクタリング業者を使うのはおすすめできません。
銀行通帳なしでできるファクタリングにどのようなものがあるのか、また、銀行通帳なしファクタリングにどのような問題があるのかを解説します。
給与ファクタリングなら銀行通帳なしでも契約できることもある
ファクタリングには、診療報酬ファクタリングや介護報酬ファクタリングなどさまざまな種類がありますが、その中に「給与ファクタリング」というものがあります。
給与ファクタリングは、会社員の「給料」を売掛債権扱いにして、ファクタリングをおこなうものです。
給与ファクタリングでも通常は銀行通帳のコピーが必要ですが、「給与明細」をエビデンスとして利用できるファクタリング業者もいます。
しっかりとした給与明細があれば、依頼者が仕事をしていることと、給与が定期的に支払われていることがわかるため、ファクタリング業者も対応できるのです。
給与ファクタリング自体は違法ではない
給与ファクタリングをやって、取り締まられるファクタリング業者が続出しています。
そのため、勘違いしている人もいますが、じつは給与ファクタリング自体は違法ではありません。
給与ファクタリングの問題は、給与ファクタリングがファクタリングではなく、「貸金業」に当たるという見解が金融庁などによって出されている点です。
一般的なファクタリング業者は、貸金業者としての認可を受けていません。
貸金業者ではないのに貸金業に相当する給与ファクタリングをやっているから、貸金業法違反として捕まってしまうのです。
つまり、「貸金業者登録」をしていれば、給与ファクタリングをやることに問題はありません。
給与ファクタリングの手数料は利息制限法で制限される
貸金業としておこなうなら給与ファクタリングはできますが、貸金業になると、手数料が「利息制限法」によって厳しく規制されます。
手数料10%のファクタリングというのは、珍しくありません。
しかし、仮に1カ月で10%の手数料を取るとすると、給与ファクタリングの年率は120%となり、あきらかに利息制限法の上限を超えてしまいます。
一般的な給料の額(10万円以上100万円未満)なら、年に18%というのが、利息制限法で定められた利息の限度です。
つまり、1カ月後の給与ファクタリングなら、手数料は最大でも1.5%になります。
これではリスクに対して利益が少ないため、まともなファクタリング業者はすでに給与ファクタリングを取り扱っていません。
もしも、貸金業者登録をしていて、なおかつ利息制限法内の手数料で給与ファクタリングを提供しているなら悪徳業者ではないでしょう。
銀行通帳なしでファクタリングをする危ない業者も存在する
銀行通帳なしでもファクタリングをやってくれる業者も、少数ですが存在します。
そういったファクタリング業者は、「高額な手数料」もしくは「償還請求権付き」のどちらかの方法を取るのが普通です。
先に結論を述べておきますが、どちらのタイプのファクタリング業者でも取引するのはおすすめできません。
銀行通帳なしでファクタリングする代わりに手数料が高い
大手のファクタリング業者は、銀行通帳なしではまず取引してくれません。
しかし、中小規模のファクタリング業者の場合は、仕事をつかむために無理をしてファクタリングに応じてくれることもあります。
その場合、ファクタリングの「手数料」が高くなるのが普通です。
取り立てに失敗するリスクが高まるのを、手数料の増加で相殺するわけです。
たとえば、支払いがおこなわれない確率が10倍になったとしても、手数料を10倍にすれば、理論上、その取引方法でもファクタリング業者はペイできます。
つまり、銀行通帳のコピーがないだけで、手数料が跳ね上がってしまうことが多くなります。
償還請求権を付ければ銀行通帳なしでファクタリングできる
「償還請求権」付きでファクタリングをする場合は、銀行通帳なしでも、業者側にほとんどリスクがありません。
償還請求権というのは、売掛先が倒産したり支払いをしなかった場合に、売掛債権を譲渡したものが代わりに支払うという制度です。
売掛先が潰れても、ファクタリング利用者からお金を取れるため、償還請求権付きなら銀行通帳なしでファクタリングをするという業者も存在するでしょう。
しかし、償還請求権付きのファクタリングというのは、利用する側にはリスクだけあって利点がありません。
償還請求権付きのファクタリングをする業者は、違法業者である可能性が高まります。
なぜなら、償還請求権付きのファクタリングも、「貸金業」とみなされるためです。
貸金業者登録をしていなければ違法ですし、利息制限法以上の手数料を取っていても違法になります。
ファクタリングで銀行通帳のコピーが必要な3つの理由
銀行通帳なしでファクタリングに応じる業者はゼロではないが、違法業者の可能性が非常に高いため、仮に見つけても利用するべきではありません。
それでは、なぜまともなファクタリング業者は、銀行通帳なしだとファクタリングに応じてくれないのでしょうか。
それには、「売掛先の実在性確認」「売掛先の支払い能力確認」「顧客の信用確認」といった理由があります。
請求書を偽造してファクタリングをしようとする詐欺師が存在する
ファクタリングでは「請求書」も求められますが、じつは請求書は銀行通帳と比べると、はるかに偽造が容易です。
そのため、請求書や注文書などの書類を偽造して、ファクタリングでお金を騙し取ろうとする詐欺師が存在します。
こういった詐欺師を避けるために、ファクタリング業者は銀行通帳の提出を求めるのです。
銀行通帳の入金記録に売掛先からのものがあれば、売掛先が実在して、なおかつ顧客と取引していることが確認できます。
だからこそ、銀行通帳のコピーはファクタリングで必須の書類となっているのです。
ファクタリング業者の中には、売掛先との初回の売掛債権はファクタリングできない、としているところもあります。
これも、銀行通帳に入金記録がないと、売掛先が実在して本当に依頼客と取引をしているのかがわからないためです。
銀行通帳なしだと売掛先の信用情報がわからずファクタリングできない
ファクタリングには、決まった手数料はありません。
さまざまなデータから、各ファクタリングごとに手数料を算出するのですが、1番重要な情報が「売掛先の信用」です。
銀行通帳があれば、売掛先からの入金記録で、売掛先が毎月ちゃんと支払いをしているのがわかります。
また、売掛先の支払いが毎月同じ日であれば、支払い遅延を起こしたりせずに順調に商売を続けていることも確認可能です。
この時、売掛先の支払期日がまちまちであったりしても、その場合は、買取手数料を上げてリスクに対処できます。
しかし、銀行通帳なしだと、こういった売掛先の情報がまったく取れないため、手数料の設定ができません。
その結果、銀行通帳なしだとファクタリングを断るようになるのです。
銀行通帳なしだと利用客の信用が測れない
ファクタリングで重要なのは、売掛先の信用であって、原則としては利用客の信用は関係ありません。
実際に、利用客が連続で赤字決算だろうが税金を滞納していようが、取引してくれるファクタリング業者は多く存在します。
しかし「架空債権詐欺」を避けるという意味では、利用客の信用も大事なポイントです。ファクタリングは貸金業と比べて、圧倒的に利幅が大きい仕事ですが、その分リスクも大きくなります。
ファクタリング業者からお金を騙し取ろうと、「債権の二重譲渡」や「計画倒産」を企む詐欺師が存在するのも事実。
ファクタリング業者は、それに対抗して「保証人」「担保」「償還請求権」といった保証をつけることができません。
保証をつけるとファクタリングではなく貸金業になってしまうため、自分たちの目で利用客の信用をはかる必要があります。
そのため、銀行通帳の提出を求めているのです。銀行通帳の入出金を調べれば、その会社(個人事業主)がまともに働いているかどうかを判断できます。
通帳のコピーができない場合はどうする?
今の時代、銀行通帳を持っていないという人は、そうそういないでしょう。
しかし、なんらかの理由で銀行通帳を持っていない場合は、ファクタリングはできないものと考えておいた方が無難です。
銀行通帳なしでファクタリングに応じてくれる業者は、悪徳業者であると考えておいた方がよいでしょう。
通帳を持っていても、資料を提出できない場合もあります。
たとえば、売掛先との取引を「現金」でおこなっていて、入出金が確認できない場合。
あるいは、「ネットバンキング」を使っていて、コピーをとれない場合、などがあります。
現金取引メインで入出金確認ができないとファクタリングは困難
取引を現金でおこなっていて入出金の確認ができない場合、残念ながらファクタリングの利用は困難です。
現金のやり取りをするたびに、証拠となる書類を残していれば、対応してくれるファクタリング業者もいるかもしれません。
しかし、そこまで手間をかけるなら、現金決済にこだわらずに銀行振込にしているでしょう。
現実的には現金取引しかおこなっていない人はファクタリングができない、と考えておいたほうがよいでしょう。
ネットバンキングなら入出金のスクリーンショットで対応できる
ネットバンキングをメインで使っているために、銀行手帳のコピーが出せない、という人もいるかもしれません。
しかしこの場合は、ネットバンキングの入出金ページの「スクリーンショット」で対応してもらえるはずです。
通帳なしで契約するまともなファクタリング業者はいない
「銀行通帳なし」で契約するファクタリング業者が、皆無だとは言い切れません。
しかし、通帳なしファクタリングをするのは、違法業者の可能性が非常に高いため、万が一見つけたとしても使わないほうがよいでしょう。
つまり、ファクタリングには銀行通帳のコピーが必須ということになります。
そのため、ファクタリングの申し込みをする場合は、事前に銀行通帳のコピーを用意しておきましょう。
大概の場合、半年分程度のコピーを用意しておけば問題ありません。
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