ファクタリングで利用できる確定債権とは?仕組みや債権譲渡との違いも解説
資金繰りに苦労している中小企業の多くが、銀行からの融資を受けられないという課題を抱えています。
銀行からの融資を受ける際に審査で通らなかったとしても、ファクタリングであれば資金調達をできる可能性があります。
ファクタリングとは、保有する売掛金などの債権を期日前に一定の手数料を徴収して買い取ってもらうサービスのことです。
保有している債権を入金予定の期日よりも前に現金化できるため、資金調達の手段の1つとして活用できます。
ただし、ファクタリングの対象となる債権の種類には気を付けなければなりません。
この記事では、ファクタリングの対象として現金化できる債権の種類について解説します。
目次
ファクタリングで利用できる債権とは?
ファクタリングは、保有する債権をファクタリング会社に売却し、期日よりも前に現金化できるサービスです。
国内の商取引では、商品やサービスの提供後、その代金は後払いが基本となります。
これがいわゆる売掛金となり、代金を相手に請求できる権利のことです。
売掛債権をファクタリング会社に売却することで、資金を手にできますが、手数料をファクタリング会社に支払う必要があります。
つまり、通常の期日よりも受取金額は少なくなってしまいますが、期日までの資金不足を早期に解消できる手段として中小企業で利用されています。
そんなファクタリングですが、対象となる債権は基本的に「確定債権」のみです。
債権は多様な種類がありますので、まずは債権について解説します。
債権の種類
債権とは特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利のことです。
例えば、金銭の支払いを要求したり、労力の提供を求めたりするなどですね。
中小企業で考えると上述した「売掛金」が代表的な債権と言えるでしょう。
売掛金は先に商品やサービスを提供しておいて、後払いの代金を請求できる権利のことを指すと上で説明しました。
このような債権の種類ですが、次の5つあります。
1. 確定債権
2. 仕掛債権
3. 給与債権
4. 将来債権
5. 不良債権
それでは、5つの債権の特徴を解説します。
確定債権
確定債権とは、売り手企業が製品を納品、もしくはサービスの提供を終了後、検収が完了して請求書およびその額について発注者が合意している債権のことです。
簡単に申し上げると、販売が終了して、いつまでにいくら入金されるかが決まっている債権のことを指します。
ただし、納品やサービスの提供が完了して入金予定日まで決まっていても、検収で返品や回収を求められる可能性や支払いが延期となる可能性がある債権は確定債権にはなりません。
仕掛債権
仕掛とは、仕事を受注して着手はしているものの、商品やサービスを納品および提供していない状態を指します。
作りかけでまだ販売できない状態の商品は仕掛品と呼ばれます。
仕掛債権とは、見積もりまたは請求書およびその額に発注者は合意しているものの、加工や納品、サービスの提供が終了しておらず、額面が確定していない債権のことです。
例えば、見積書などにより金額が提示されているものの、商品・サービスの販売や提供がされていないため、入金金額が決まっていない状況は仕掛債権が発生していると言えます。
給与債権
給与債権とは、企業と雇用契約を結んだ社員やパートなどが、労働をしたのち、その対価として給与を受け取るまでに発生する債権のことです。
つまり、給料日に入金されることが確定しているものの、まだ受け取っていない給与を債権とみなしたものが給与債権です。
例えば、税金や慰謝料などの支払いに問題があり、給与に対し直接差し押さえがおこなわれる時に使われる言葉といえます。
将来債権
将来債権とは、継続的な取引や契約において定期的に発生する債権で、まだその発生および請求日が到来していないもののことです。
毎年100万円の商品を1年にわたり販売する契約を結んでいる場合を想定します。
この場合、いつ商品を提供するのか、代金が入金されるのか決まっていなくとも、おおよそ把握できるため将来債権とみなせます。
不良債権
不良債権とは、発注先に対して商品やサービスの提供が終了したものの、請求日を渡過しても、支払いがおこなわれていない債権のことです。
売掛債権が不良債権となるケースのほとんどは、発注先がすでに経営破綻か、業績不振に陥っています。
つまり、不良債権となった売掛債権が回収できる見込みは非常に低くなってしまいます。
ファクタリングで利用するのは確定債権
5つの債権のうちファクタリングの対象となるのは、入金日や入金額が決まっている未回収の「確定債権」のみです。
ファクタリング会社は支払いが確定していない仕掛債権などの債権を対象外としています。
そのため、買取対象を「検収完了後の確定債権」と明記しています。
もし、支払いが確定していない債権でも買い取りますと謳っている企業があれば、利用者に不利益をもたらす悪質な業者である可能性があるため、注意しましょう。
ファクタリングで確定債権を譲渡する仕組み
ファクタリングは、確定債権である売掛金をファクタリング会社へ譲渡して手数料を差し引いた金額を受け取る仕組みです。
一般的なファクタリングは買取型を指しますが、ほかにも保証型や一括型、国際型などのファクタリングサービスもあります。
買取型のなかでも、2社間取引と3社間取引に分かれています。
2社間取引は利用者とファクタリング会社で債権売買をおこなう取引方法で、3社間取引は売掛先が加わる取引方法です。
ファクタリングと債権譲渡の違い
ファクタリングと似た言葉として「債権譲渡」があげられます。
混同を防ぐために、ファクタリングと債権譲渡の違いについて簡単に説明します。
ファクタリングと債権譲渡の違いは目的にあります。
ファクタリングは資金の調達を目的とするのに対して、債権譲渡は債務の弁済のためにおこなうものです。
繰り返しになりますが、ファクタリングとは債権をファクタリング会社に手数料を支払って売却することで、現金化できる仕組みのことでした。
一方、債権譲渡は債務の弁済が難しい際に、金銭での弁済の代わりとして保有している売掛債権や貸付債権を相手に渡すという方法です。
つまり、債務の相手方のA社に対して支払う現金がないため、保有するB社の債権を譲渡し、直接B社から徴収してもらうという返済の方法です。
そのほかにもファクタリングの対象は売掛債権のみなのに対して、債権譲渡は売掛債権や貸付金債権が対象になるといった違いもあります。
まぎらわしい2つですが、その目的にフォーカスして混在を避けましょう。
ファクタリングの「将来債権」と「債権譲渡禁止特約」の取り扱い
ファクタリングは基本的に確定債権を活用しますが、民法改正によって将来債権を取り扱うファクタリング会社もでてきました。
また、債権譲渡禁止特約を設定している場合の取り扱いも変化しました。
ここでは、将来債権と債権譲渡禁止特約の取り扱いについて見てみましょう。
将来債権の取り扱い
2020年の民法改正によって、将来債権の譲渡が明文化されました。
ファクタリング会社が債権を買い取った時点では未確定である債権でも、その債権を保有できるため、将来債権を買い取る業者が増えました。
その結果、よりファクタリングを利用しやすくなったといえます。
債権譲渡禁止特約がある契約でもファクタリングは利用できる
従来では、契約内容に債権譲渡禁止特約がある場合、債権譲渡ができませんでした。
しかし、民法改正によって現在では債権譲渡禁止特約がある契約であっても、債権譲渡が可能なため、ファクタリングを利用できます。
民法改正によって、よりファクタリングを利用しやすくなった現在、今後さらに利用者が増え、需要が高まっていくでしょう。
ファクタリングには債権譲渡登記が必須?
ファクタリングにおける債権譲渡登記とは、ファクタリング会社へ債権を譲渡した旨を第三者へ伝えることです。
ファクタリング契約によっては、債権譲渡登記が必要な場合があります。
2社間取引なら売掛先にファクタリング利用を知られないファクタリングですが、債権譲渡登記をおこなうと知られてしまう可能性があります。
ここでは、債権譲渡登記の必要性と申請方法を見ていきましょう。
債権譲渡登記の必要性
債権譲渡登記をおこなう目的は、二重譲渡のリスクを防ぐためです。
二重譲渡とは、ひとつの売掛金を複数のファクタリング会社へ譲渡する行為です。
売却済みの債権を再び別のファクタリング会社へ譲渡するため、買い取る業者は損失を被ります。
債権譲渡登記をすれば、仮に二重譲渡が起こった際に、ファクタリング会社は自社が債権の保有者であることを法的に証明できます。
また、債権譲渡前に登記情報を確認すれば、現在誰が債権を保有しているかを調べることが可能です。
債権譲渡登記の申請方法
債権譲渡登記は、東京法務局の債権登録課で申請をおこない手続きを進めます。
直接出向くのが難しい場合には、郵送やオンラインでの申請も可能です。
ファクタリング会社の依頼を受けた司法書士が債権譲渡登記を申請するのが一般的です。
債権譲渡登記は、利用者側からするとあまりメリットがないように思えますが、手数料が低くなる可能性があります。
なぜなら、ファクタリング会社の抱える未回収リスクが軽くなるためです。
債権譲渡登記の有無は、各ファクタリング会社で異なるため気になる方は事前に確認しておきましょう。
給与ファクタリングには注意すべき
ファクタリングは、基本的に事業者向けサービスですが「給与ファクタリング」という事業者ではない個人向けサービスも存在します。
給与ファクタリングは、会社から受け取る給与債権を業者が買い取って、手数料を差し引いた金額を利用者に渡す仕組みです。
給与ファクタリングは、貸金業に該当し、業者は貸金業登録をしなければなりません。
しかし、貸金業登録が必要ないファクタリングと偽り給与ファクタリングを提供している業者は違法業者である可能性が極めて高いといえます。
給与ファクタリングについては、金融庁も警告しているサービスですので利用は避けるべきでしょう。
まとめ:ファクタリングで基本的に確定債権を取り扱う
ファクタリングが銀行からの融資を受けることが困難な中小企業にとって、有効な資金調達の手段になりえます。
ファクタリングは基本的に「確定債権」を取り扱うサービスです。
債権は下記の5種類があるため混同に注意が必要です。
• 確定債権
• 仕掛債権
• 給与債権
• 将来債権
• 不良債権
ファクタリングは資金の調達方法としてだけでなく、売掛金の未回収リスクを手数料を支払うことによりファクタリング会社に移転できるといったメリットもあります。
ただし、すべての債権が対象となるわけではないため、疑問点や不安に思うことがあればファクタリング会社に相談するようにしましょう。
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