歯科医院の資金調達にはファクタリング!活用方法とメリットを解説
子どもから大人まで、多くの人が治療に通う「歯科医院」。
治療は一度で終わることが少なく、一見多くの歯科は経営が安定しているように見えます。
しかし、歯科医院を取り巻く現状および未来は決して甘くありません。
少子高齢化により、人口が減っていくのに対し歯科医院の数は減っていません。とくに、東京都のような都市部では、歯科医院の数が多すぎることによって競争が激しくなっています。
歯科医院の収入は、売上がそのまま手元に残るのではなく、請求したあとで入金される「診療報酬」です。そのため、患者が多数来院して売上が上がっていたとしても、実際に現金が手に入るのは先になります。とくに、開業間もないころには資金不足に陥りやすいといえるでしょう。
歯科医院では売上の多少にかかわらず、さまざまな経費が必要です。経費には治療で必要な消耗品や家賃、光熱費、スタッフの給料など人件費、機器のリース代などが含まれます。開業当初は、売上が少ないにもかかわらず支出は必ず発生するため、資金不足となる可能性があります。資金不足に陥りやすい歯科医院にとって、おすすめなのがファクタリングです。歯科医院は、保険適用の治療を提供し、その対価として診療報酬を請求し受け取ります。
この記事では、歯科医院におけるファクタリング「診療報酬ファクタリング」について解説していきます。
目次
歯科医院を取り巻く現状
歯科医院の現状は非常に競争が激しい状況です。
全国の歯科診療所の総数は68000件近くにのぼり、競争が激化していることがわかります。
歯科医院の過当競争
今後も歯科医院の競争は激化すると予想されており、特に都市部、東京をはじめとした大都市圏での集中が続くと見られています。
とくに東京では人口10万人当たりの歯科医師数が最も多く、都市部での競争の激しさを物語っているといえるでしょう。
23区内では、歯科医院の数がコンビニエンスストアの2倍にも上るほど過密状態にあり、激しい競争が行われています。
歯科医院をめぐる状況は非常に競争が激しい状況にあり、特に都市部での過密化が進んでいることがわかります。人口減少や後継者不足など、さまざまな課題に直面している歯科医療業界ですが、今後もこの傾向が続くでしょう。
歯科医院の資金繰り
歯科医院の資金繰りは難しい面があります。その理由は、歯科医院の主な収入は「保険診療」であり、請求から入金されるまでの期間が長いためです。
歯科医院の資金繰りは難しい?
歯科医院は、開業時には多額の初期投資が必要です。歯科医院では、治療に必要な設備や機器の購入、建物の賃借料など、多くの資金が必要となります。
開業までに必要な金額の目安は最低で5000万円、多いと1億円といわれ、歯科医院を承継するような場合は別ですが、一から開業するために多くは借り入れをするでしょう。
開業後は借金を返済していかなければならず、資金繰りを圧迫する可能性があります。
また、歯科医院は収支管理が難しいといえます。患者数の変動や保険診療と自費診療のバランス、材料費の変動など、収支の管理が難しい面があります。
歯科医院では「自費診療」と呼ばれる、健康保険の対象外で、患者が費用を全額負担する治療も行われていますが、多くは「保険診療」です。
保険診療では、原則小学生~70歳未満の患者は3割負担です。保険対象となる診療報酬は「社会保険診療報酬支払基金」か「国民健康保険団体連合会」のどちらかの機関に対して請求を行います。
しかし、請求しても支払いが行われるまでに2ヶ月ほどの期間が必要になり、入金までの期間の資金確保が問題になる可能性があります。
また、歯科医師が独立して開業し、経営者となる場合、会計や人事、マーケティングなどの経営ノウハウは十分とはいえず、資金繰りに行き詰まるケースもあるでしょう。
診療報酬の入金までに時間がかかる
歯科医院が保険の適用される診療を患者に対して行うと、診療報酬が発生します。
診療後、歯科医院は審査・支払い機関である社会保険診療報酬支払基金か国民健康保険団体連合会に診療報酬の請求を行います(1~2週間)。
これらの機関では診療報酬の審査と支払いについて処理します(1~2か月程度)。
歯科医院へ診療報酬が実際に入金されるまでにはさらに1~2週間を要します。歯科医院で診療し、実際に入金されるまでにはトータルで2~3か月程度の期間が必要です。
このように、診療報酬の入金には時間がかかるため、歯科医院の資金繰りが難しくなる一因となります。経営を軌道に乗せるには、適切な資金管理は重要です。
歯科医院の課題を解決するには?
歯科医院の経営環境は、入金が後になること、競争相手が多く患者の取り合いになっている現状では厳しいと言わざるを得ません。
ここでは、歯科医院が生き残っていくために必要なポイントについて解説します。
マーケティングに注力する
歯科医院の経営を成功するためには、患者にファンになってもらうことが大切です。
歯科医院が過当競争といわれる中、かかりつけの医院になってもらう必要があります。
ファンになってもらえば、口コミで新しい患者を紹介してくれたり、保険治療ではなく自費治療を選択してくれたりなど、売上増加に自然とつながる動きを期待できるでしょう。
継続して来院してもらう患者を増やすには、治療が終了した患者数を増やし、そこから定期健診で通う患者として定着させる、というプロセスが重要です。
治療終了後、予防のために通ってもらう患者を増やすには、虫歯の予防にはメンテナンスが大切であることを伝え、その時に次回の予約を取るように促すことです。
具体的には、紹介カードを利用するなどして、患者にアプローチしていきます。
また、安定した経営を目指すには自費治療の割合を増やすことです。
自費治療を増やすためには、インプラントや矯正といったメインの治療を決め、価格や技術などでライバルとの差別化をはかる、ポスターなどで視覚に訴え、周知する、カウンセリングを行うといったアプローチが有効でしょう。
マネジメントに力を入れる
歯科医院経営において、マーケティングと並びマネジメントも同じぐらい重要です。
マネジメントを疎かにすれば、スタッフが定着しなかったり、作業の属人化が起きたりなど、運営に支障が出るさまざまな課題が生じるでしょう。
患者を集められても、対応が不十分になり売上が下がってしまい、経営悪化につながるおそれがあります。
適切なマネジメントは、適切な人員配置と業務を効率化を実現し、業務に無駄がなくなります。
マネジメントの重要性を理解していながら治療などで忙しく、手が回らない院長も多いでしょう。マネジメントにもっと力を入れたくても、日ごろの業務が忙しくてできないという医師は、歯科業界を対象としたコンサルティングなどを利用するのもよいでしょう。
財務管理
経営を強固なものにするには、財務面の強化がもっとも重要です。
資金繰りや利益を管理するのに加え、経営の計画を立て、実行する必要があります。
さらに、経営の安定化にはコストの把握が欠かせません。売上の増加など、収入面の管理とともに、健全な財務基盤の構築には支出面での管理も同じように重要です。
資金繰りの問題に気づくには、常に財務状況を管理・把握しておかなければなりません。
歯科医院にはファクタリングがおすすめ
歯科医院の安定した経営には、資金繰りの健全化が必要です。
しかし、診療報酬の入金は診察後の翌々月であるため、支払いが先行する場合、運転資金が不足する可能性があります。
そこで、歯科医院におすすめなのが「診療報酬ファクタリング」と呼ばれるファクタリングです。
診療報酬ファクタリングとは
診療報酬ファクタリングは、歯科医院をはじめ、医療機関が国民健康保険団体連合会(国保連)や社会保険診療報酬支払基金(支払基金)に請求する診療報酬債権を、ファクタリング会社に売却し、早期に資金化する資金調達の手段です。
診療報酬ファクタリングは3者間ファクタリングであるため、診療報酬の請求はファクタリング会社が行います。
診療報酬ファクタリングを利用することで、期日よりも先に現金化でき資金繰りの改善が期待できるほか、診療報酬の請求業務をファクタリング会社に委託できるため、事務作業の効率化にもつながります。
診療報酬ファクタリングは、難しいといわれる歯科医院の経営を助ける、効果的な資金調達の手段といえるでしょう。
診療報酬ファクタリングが歯科医院にもたらすメリット
診療報酬ファクタリングの利用で、資金繰りが改善されると歯科医院にはさまざまなメリットがあります。
たとえば、最新の設備を取り入れたい、あるいは新しい設備に取り替えたいという希望があっても、入金が先の場合手元の資金が不足して購入できない可能性があります。
しかし、診療報酬ファクタリングを利用し早期に現金化できれば可能なケースもあるでしょう。
スピーディーな資金調達が可能
診療報酬ファクタリングの強みは、本来の予定よりもかなり早く現金調達が可能な点です。
ただし、3者間ファクタリングとなり、利用者とファクタリング会社で債権譲渡契約後、連名で国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金と債権譲渡契約をする手続きが必要となります。
2社間ファクタリングよりは日数を要するため、現金化を急いでいる場合は注意が必要です。
借り入れではないため、負債が増えない
融資を利用する場合、限度額を超える資金調達はできません。
しかし、ファクタリングは融資ではなく、資産である債権を譲渡する取引です。
そのため、利用しても限度額に縛られず利用できます。
さらに、負債を増やさず現金を増やす取引であることから、バランスシートをスリム化できる点、総資産利益率の向上も期待できる点もメリットです。
審査に通過しやすい
銀行の融資には厳しい審査が必ずあります。ファクタリングにも審査はあり、通過する必要があります。しかし、融資とは審査基準が異なります。
融資では、利用する企業の経営状況を主に審査しますが、ファクタリングでは利用企業の経営状況ではなく、売掛先の信用がもっとも重視されます。
売掛先が安定していることを証明できれば、経営状況に関係なく審査を通過できるでしょう。
診療報酬債権の高い信用度
前述のように、ファクタリングの審査では売掛先の信用度が大切です。
診療報酬ファクタリングの場合、売掛先は社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会という公的な機関であり、信用度は群を抜いています。
ファクタリング会社のリスクはほぼゼロといってよく、歯科医院にとって利用しやすいのが診療報酬ファクタリングです。
手数料率が低く設定されている
通常、ファクタリングに設定される手数料率は、もっとも高いもので30%程度といわれています。手数料率は売掛先の信用度によって設定されるため、信用度が高ければ手数料率は低くなるのが一般的です。
診療報酬は信用度がトップクラスに高いため、一般的なファクタリングよりも手数料は安く設定されていることがほとんどです。歯科医院は、他の業種よりもファクタリングが利用しやすい状況といえるでしょう。
歯科医院の資金調達にはファクタリング!活用方法とメリットを解説まとめ
歯科医院は、少子高齢化によって人口減少が予想されているにもかかわらず、供給過剰な状態となっています。
歯科医院を取り巻く状況が厳しい中、歯科医院が生き残っていくためにはより多くの患者を集め、継続して来院してもらうこと、口コミで患者を連れてきてもらうことなどが大切です。
歯科医院の収入の多くが診療報酬でまかなわれている場合、入金がおよそ2ヶ月後となるため、その間の運転資金を確保する必要があります。
診療報酬ファクタリングは、手数料率の低さや審査通過の容易さなどから、歯科医院の資金繰り改善に最適な手段といえます。