運送業特化型のファクタリング会社を利用するメリットとは?
運送業界は、厳しい状況が続いているといわれています。その理由は、円安や世界的な事情による燃料費の高さ、少子高齢化や労働環境の悪さが原因の人手不足などです。
さらにドライバーの労働時間が制限される「2024年問題」により、苦境に立たされていると言わざるを得ません。
こうした課題に加え、運送業では資金繰りの面でも難しい側面があります。
最大の課題は、その他の業種と比較すると、売掛金を回収するまでの期間が長い点です。回収するまでの間、人件費や燃料費など避けられない出費が重なると、たちまち資金がショートする可能性は否定できません。
運送業の資金繰りを改善する方法に「ファクタリング」があります。
ファクタリングは融資とは異なり、売掛債権を売却して現金化する資金調達方法のひとつで、多くの運送業者に利用されている方法です。
運送業者がファクタリングを利用する場合、運送業界特有の事情を理解している会社を利用することが大切です。
そこでおすすめなのが、運送業に特化した「運送業特化型ファクタリング会社」を利用することです。
この記事では、運送業にファクタリングが向いている理由や、運送業特化型ファクタリング会社を選ぶポイントなどについて解説します。
目次
運送業の資金繰りの課題
現在、経済活動において運送業の役割は非常に大きく、 ネット通販の広がりとともに需要が高まっていますが、さまざまな課題を抱える業界でもあります。
とくに資金繰りの面では深刻な課題があるものの、長らく続いてきた慣習などにより、改善できていないのが実情といえます。
売掛金の回収までに時間がかかる
運送業は他の業種と比較して、売掛金を回収できるまでの期間が長いといわれています。
商取引においては、売掛金の回収期間は30日~60日が一般的です。しかし、運送業においては90日以上であることはめずらしくありません。
現金が入ってこない期間、現金を確保するためには売掛金以外の資金調達方法が必要です。
また、運送業は、一見会社にとっては良いことに見える売上の増加により、資金繰りが難しくなる傾向があります。
その理由として、以下のようなことが考えられます。
売掛金が増えると、サービスに対する代金がすぐには入金されず、手元の現金が減り、日々の運営資金や経費の支払い、車両の維持管理費用の支払いに対応できなくなる可能性があります。
こうした費用を支払わなければ、仕事の依頼はいずれ来なくなってしまうでしょう。
売掛金の増加=人件費や燃料費などの増加につながり、支払いが増えて資金繰りを圧迫します。さらには資金繰りが悪化によって資金が不足すると、手元の資金を確保するために、金利の高い借入れをする可能性があります。これによって月々の返済が負担となり、利益を減らしかねません。
また、長期間売掛金を回収できない場合、回収不能になるリスクも考えておく必要があります。
運送業のように、多額の運転資金が必要な業界では、売掛金の回収を早め、管理を徹底することが大切です。
売上が不安定
運送業は、季節によって売上および業務量が変動します。
運送業の繁忙期は、お歳暮の配達が多い年末年始、引っ越しが多い春、お中元の配達が増える夏といわれており、これ以外のシーズンは業務量が少なくなるのが一般的です。
売上に波があり、入金額が変動するため手元の資金が不安定になります。
一方、人件費などの固定費は変わらず必要であり、場合によっては資金繰りが難しくなることがあるでしょう。
コストが高いわりに、利益率は低い
運送業では、燃料費(ガソリン代など)は、絶対に必要です。
ガソリンの価格はここ数年間でかなり上昇し、高値が続いています。こうしたコスト増を価格に上乗せするにも限度があるため、運送業者にとって大きな負担となっています。
入金される金額はあまり変わっていないにもかかわらず、ガソリン代の上昇によって出費は増えており、もともと利益率が低い運送業の利益はさらに削られているのが現状です。
運送業界では、規模が小さくなればなるほど、利益が出ていない(またはマイナス)企業が多くなっています。
さらに、人手不足のため人件費も増加していることも加わり、運送業の資金繰りはさらに困難になっているといえるでしょう。
人手不足
運送業界の人手不足は深刻です。人手不足の状態では人件費が高騰し、ドライバー一人当たりの残業が増え、残業代も増加します。
さらに2024年4月からは、ドライバーの年間時間外労働時間は960時間に制限されることになりました。これによりドライバーの収入が減少し、人手不足に拍車がかかることが懸念されています。
運送業の慢性的な人手不足で、人件費のコストが増大することも、資金繰りの苦しさを招く原因の1つです。
突発的な出費の多さ
運送業では、予定外の出費がたびたび発生します。
たとえば、ドライバーが事故を起こしてしまった場合、トラックの修理代のほか、被害者や荷物の補償をしなければなりません。トラックが使い物にならない場合は、購入費用や手続きのための諸費用も必要です。
事故の責任が会社にあるとされた場合、信用がなくなり会社の存続が危ぶまれる事態になる可能性があります。
運送業の課題を解決する、運送業特化型ファクタリング
さまざまな要因が重なり、運送業の資金繰りは非常に厳しい状況です。
資金繰りの改善には、余分な支出を減らし、売掛金の回収を早く確実に行うことが必要です。
しかし業界の慣習から、どの企業もこれ以上コストを減らしたり、売掛金の回収を早めたりするのは難しいでしょう。
そこで、役に立つのがファクタリングです。
ファクタリングで数か月先の売掛金の回収を早めれば、必要な支払いに充てることが可能です。
とくに、運送業特化型の会社を利用すると、運送業界の現状を理解しているため、さまざまなメリットがあります。
ファクタリングのしくみ
ファクタリングは、売掛債権(売掛金)を売却(譲渡)し、現金化を早めて資金調達します。
資金繰りが難しくなる原因は、売掛金の回収に時間がかかることにあります。
ファクタリングを利用すれば、売掛金の権利をファクタリング会社に売却する代わりに、支払期日よりも前に、現金を手に入れられるのです。
2者間方式と3者間方式
ファクタリングには、ファクタリング会社と利用者の間の契約で行われる「2者間方式」と、ファクタリング会社と利用者、売掛先の企業で行われる「3者間方式」があります。
2者間方式では、売掛先の企業が関わらないため手続きが簡略化でき、資金調達までの時間が短くなる(最短で即日)のが特徴です。
3者間方式では、売掛先の企業に連絡がいき、さらに承諾を得る必要があります。
そのため、2者間方式よりも資金調達までに要する時間が長くなります(1週間程度)。
運送業特化型ファクタリング会社を利用するメリット
売掛金の回収時期を早められるファクタリングは、運送業に最適な資金調達方法といえるでしょう。
多くの会社がある中、近年は対応する業種を絞った特化型の会社が出現しています。
運送業特化型のファクタリング会社もその一つです。
特化型の会社の数は少ないといえます。しかし、運送業の資金繰りを熟知した運送業特化型のファクタリング会社は、運送業者にとって頼もしい存在だといえるでしょう。
スピーディーな資金調達が可能
運送業界の資金繰りが改善しないのは、売掛金の回収に時間がかかるためです。回収までの時間を短くできれば、資金繰りを改善できるでしょう。
しかし、実際に運送業で回収サイト(資金回収できるまでの期間)を短くするには、売掛先に対し契約条件を見直してもらう必要があります。
売掛先にとっては、支払い時期が早くなり、資金繰りに影響が出ます。そのため、変更は難しいでしょう。
回収サイトの変更は、双方合意するまで粘り強い交渉が必要となることが多く、時間がかかります。
また、売掛先に依頼しても、回収サイトの変更を認めてもらえない可能性もあります。
回収サイトを短縮するには、ファクタリングがもっとも適した方法です。
申込みから即日で資金調達できれば、回収サイトを0日にしたのと同じことになります。
売掛金が入金されるまで、支払いが先行し資金繰りが難しくなっている運送業者は、ファクタリングを活用しましょう。
運送業界の実績が豊富
運送業特化型ファクタリング会社は、これまで運送業を対象としてきた実績があります。
運送業の課題は、売掛金回収までの期間の長さや、人件費や燃料費などのコスト負担が大きくなっていることなどです。
運送業において、これまでの実績があるということは、このような運送業界の事情を理解していることの証です。そのため、審査を通過できる可能性が高くなるでしょう。
注文書ファクタリングに対応している
運送業特化型ファクタリング会社には「注文書ファクタリング」が可能な会社があります。
一般的なファクタリングは、請求書に基づいた契約ですが、注文書ファクタリングでは、注文書を売掛債権として扱い現金化できます。
請求書ではなく、注文書を売却することで現金化を早められるため、さまざまな支払いに充てたり、新しい仕事を受注したりといったことが可能になるでしょう。
いまはまだ対応する会社は多くはありません。しかし、運送業特化型の会社では取り入れていることが多く、活用が期待されています。
少額~大口まで利用可能
ファクタリング会社の中には、買取限度額が設定されており、ある程度の金額以上でないと債権を買い取ってくれない会社や、買取金額の上限が設定されている会社もあります。
運送業に特化した会社を選ぶ場合、買取金額について、少額から大きい金額まで、柔軟に対応できる会社を選ぶとよいでしょう。
対応が速い
運送業特化型ファクタリング会社で、2社間ファクタリングを利用すれば、最短、即日の入金が期待できるでしょう。
とくに資金調達を急ぐ場合は、入金までの時間をチェックしてください。
オンラインファクタリングができる会社は、契約のために会社まで出向く必要がなく、対応も早いことが多いためおすすめです。
審査に通過しやすい
ファクタリングの審査では、売掛債権の信用力が重視されます。
売掛先が大企業だったり、公共性が高かったりすると売掛金を回収できる可能性が高いとみなされるため、信用度が高まります。また、支払期日までの期間が長すぎないほうが、審査に有利です。
しかし、運送業特化型の会社では、運送業の回収サイトの長さを理解しています。一般的なファクタリング会社では断られるかもしれない売掛債権でも、通過できる可能性は高くなるでしょう。
手数料が安い
運送業特化型ファクタリング会社を選ぶ際には、手数料にも注目しましょう。手数料によって、手元に入る金額は上下します。
もともと利益率が低い運送業において手数料が高額になると、利益はさらに圧迫されることになります。
一般的なファクタリング会社の手数料率は、2社間で8%〜20%程度、3社間では2%〜8%程度です。オンラインファクタリングでは、10%前後が多いでしょう。
できる限り手数料率の低い会社を選ぶことが、資金調達成功には大切です。
運送業特化型のファクタリング会社を利用するメリットとは?まとめ
運送業界を取り巻く状況は、人手不足や燃料費の高騰などにより、非常に厳しいものとなっています。また、利益率が低いこと、売掛金の回収サイトが長いことも、運送業の資金繰りを難しくする要因です。
運送業者が資金繰りを改善するには、ファクタリングが適しています。
とくに、運送業に特化した「運送業特化型ファクタリング会社」は、運送業界の事情をよく理解しているため、運送業者は審査を通過しやすいなど、利用するとさまざまなメリットがあります。
運送業特化型の会社を利用することで、売掛金を迅速に現金化でき、資金繰りを改善できます。事故などの想定外の出費がある場合にも対応できるでしょう。
また、銀行融資を受けられない場合でも、ファクタリングならば売掛債権に信用力があれば、審査を通過しやすく資金調達できる可能性が高いといえます。
運送業に特化したファクタリング会社は、売掛先から売掛金の回収を行います。
それにより、運送業者は本業である運送業務に専念でき、売掛金が未回収になるリスクや売掛金の管理作業の負担を軽減できる点もメリットです。