ファクタリングで売上債権回転率を上げる方法とは?業界ごとの目安も紹介
売上債権回転率は会社・個人事業主の資金繰りに影響を与えます。そのため、売上債権回転率をアップさせる方法に頭を悩ませる経営者や個人事業主は少なくありません。
売上債権回転率のアップにはファクタリングの活用が効果的です。
ファクタリングで売上債権回転率を上げるコツやメリットなどを解説します。
目次
売上債権回転率はファクタリングでアップする
売上債権回転率は債権を回収するペースのことです。売上債権回転率が良ければ会社・個人事業主の資金繰りや資金調達にも良い影響を与えますが、売上債権回転率が悪ければ逆にマイナスの影響を与えてしまいます。
売上債権回転率をアップさせる方法のひとつが「ファクタリングの活用」です。
ファクタリングを有効活用して売上債権回転率を上げるコツについて、基本的な知識部分から順番に説明して行きます。
ファクタリングの前に!売上債権回転率の基礎知識
ファクタリングで売上債権回転率を改善する方法の前に、まずは売上債権回転率の意味や計算方法、業界ごとの目安などを説明します。
売上債権回転率を上げるためにも、基本的なポイントをおさえておきましょう。
売上債権回転率とは売掛金の回収の早さ
売上債権回転率とは、「売掛金(売掛債権)をどれくらいの速さで回収できているかを示す割合」のこと です。
売上債権回転率が高いと速いスピードで売掛金を回収できていることになります。反対に売上債権回転率が低いと、売掛金の回収が遅い、あるいはなかなか回収できていないということになるわけです。
債権の回収にかかっている時間を示すものと言い換えてもいいでしょう。
売上債権回転率を計算する方法
売上債権回転率は次の計算式で算出できます。
売上高÷売掛債 権(売上債権)
この計算式にそれぞれ自社の数字を当てはめて計算すれば、自社の現在の売掛金回収状況をチェックすることが可能です。
売上債権回転率の業界ごとの目安
売上債権回転率を計算しても、ただ数字を見ただけでは「自社の売掛金回収状況は良いのか、悪いのか判断できない」と困るのではないでしょうか。
自社の売掛金の回収状況について判断する方法のひとつに「業界の目安と比較する方法」があります。
業界ごとの目安は次の通りです。
・建設業 / 9.0~9.1
・運輸業 / 7.8~7.9
・鉄鋼業 / 5.8~5.9
・製造業 / 5.7~5.8
・郵便業 / 7.8~7.9
・食品卸売業 / 11
・飲食店 / 47~48
・宿泊業 / 29
算出した数字が業界の目安と近ければ「売掛金の回収状況は業界の平均である」と判断できます。業界の目安より高ければ売掛金の回収状況は良好であり、逆に低ければ平均より悪い状況であると判断できるわけです。
なお、業種に関わらず、一般的な目安は「6以上」となっています。数字が6以上であれば売掛金の回収状況は平均、あるいは比較的良好な状態です。「3以下」になると、売掛金の回収状況は好ましい状況ではないと言われています。
一般的な目安や業種ごとの目安は、あくまでひとつの参考資料でしかありません。数字だけで判断するのではなく、自社の実際の資金繰りの状況なども併せて判断することをおすすめします 。
売上債権回転率が悪いと会社に悪影響がある
売上債権回転率が悪いと会社の経営・資金繰りに悪影響です。なぜなら、「お金がなかなか入ってこない状況だから」です。
会社間・事業者間の取引では、商品を納品しても即座に支払いが行われないケースは少なくありません。翌月末日など契約内容に沿って決済することが多いと言えるでしょう。商品・サービスを納品してから支払いを受けるまでタイムラグがあるわけです。
お金がなかなか入ってこないと、会社は資金繰りに困ってしまいます。
反対に売上債権回転率が良いと、取引先からこまめにお金を回収できている状況ですから、会社の経営・資金繰りにとってはプラスです。このように、売上債権回転率の良し悪しは会社・個人事業主の経営・資金繰りに関係してきます。
売上債権回転率が低くなっている場合は、資金繰りを悪化させないためにも、状況(数字)を改善することが重要です。
売上債権回転率と回転期間の違い
売上債権回転 率とよく勘違いされる数字に「売上債権回転期間」があります。
売上債権回転期間は売掛金を回収するまでの期間(日数)です。売上債権回転 率とは違った数字なので注意してください。
なお、売上債権回転期間は次の計算式を使って算出できます。
売掛債権(売上債権)÷売上高×365日(あるいは12カ月)=売上債権回転期間(日あるいは月)
1年の日数で計算したい場合は計算式に365日を入れてください。1年の月で計算したい場合は12カ月を入れてください。365日を使って計算すると日数の上債権回転期間を求めることが可能です。12カ月を使って計算すると、月の上債権回転期間が算出される仕組みです。
売上債権回転期間は「債権をどのくらいの日数(月)で回収できているか」を見るときに使える方法です。自社が取引先からどのくらいの日数、月で債権回収しているか確認したいときは、この計算式を使えば現状を把握できます。
売上債権回転率アップに有効な「ファクタリング」とは
売上債権回転率を算出し、「一般的な平均・業界の平均より低い」という場合や「数字が低くて心もとない」「数字は業界の平均だが、実際は資金繰りが苦しい」などの場合は、どうやって改善するかが問題になります。
改善方法としてはファクタリングがおすすめです。ファクタリングは会社・個人事業主の資金繰り改善や資金調達によく使われる方法で、売上債権回転率アップも見込める方法になっています。
ファクタリングのサービス内容やメリットなど、基本的なポイントについて説明します。
ファクタリングとは債権の譲渡・売却による資金調達方法
ファクタリングとは譲渡・売却による債権の換金サービスです。
中小企業であるA社が60万円の売掛金を持っていたとします。この売掛金の支払い日は翌月末日なので、それまではいくら「資金繰りが苦しい」と思っても取引先から払ってもらうことはできません。
ファクタリングは債権の支払い日前に売掛債権の換金が可能です。
ファクタリングではファクタリング会社に会社が持っている売掛債権などを譲渡・売却して売却金を受け取ります。中小企業であるA社は持っている60万円の売掛債権をファクタリング会社に譲渡・売却すれば、取引先の支払い日前に資金調達できます。
ファクタリングで資金調達するメリット
ファクタリングは資金調達・資金繰りの改善によく使われる方法です。
ファクタリングによる債権の譲渡・売却には、具体的に次のようなメリットがあります。
・ファクタリングで必要に応じて債権を資金化することで資金調達できる
・支払いまでの期間が長い債権を換金すれば資金繰りを改善できる
・ファクタリングは業界に関係なく使える方法である
・ファクタリングは取引先に知られずに資金繰りを改善できる
・ファクタリングは債権や取引先のリスク対策にも使える
ファクタリングは売掛債権の支払い日前に資金化できるサービスです。支払い日前の期間が長い場合はファクタリングを使って早期に換金できます。ファクタリングで所持している債権を資金状態に合わせて資金化すれば、有効な資金調達や資金繰りの改善が可能です。
この他に、ファクタリングには取引先に知られずに使えるメリットや、業界に関わらず使えるというメリットもあります。
支払い日まで長い売掛金の場合、それだけ取引先の倒産リスクなども高くなるのが特徴です。ファクタリングで売掛金を早期資金化することで、取引先や債権のリスク対策が可能です。
ファクタリングで資金調達するデメリット
ファクタリングで資金調達・資金繰りの改善を行うためには手数料がかかります。
先の例で中小企業であるA社は売掛金60万円をファクタリングで売却しました。このファクタリングケースでは、債権額である60万円満額がA社に支払われるわけではありません。
ファクタリングの利用には手数料がかかる点に注意が必要です。
ファクタリングがよく使われるケース
ファクタリングがよく使われるのは、債権を早期に換金して資金繰りを改善したいときや、債権回収の期間を短縮したいときなどです。事業拡大や経営が不安定なときなどの資金調達方法としてもファクタリングはよく使われています。
また、ファクタリングは売上債権回転率を上げたいときにもよく使われる方法です。
ファクタリングを使えば支払いまで長い債権を適宜売却できるため、支払いをコントロールできます。ファクタリングを使って支払い期間を短くすることで、売上債権回転率を改善可能です。
ファクタリングで売上債権回転率をアップするコツ
ファクタリングで売上 債権回転率をアップさせると言っても、具体的にどうすればいいのでしょうか。
ファクタリングで売上債権回転率を上げたいときは、支払い前の期間が長い債権を適宜換金するのが基本です。債権回収までにかかる期間を短縮できれば、それだけ改善効果が期待できます 。
ただ、闇雲に売掛金を換金すればいいというわけではありません。ファクタリングで状況を改善したい場合は4つのコツが重要です。
取引先との支払いサイトを再確認する
売掛金の支払いまでの期間が長い契約は売上 債権回転率改善の足を引っ張る可能性があります。
ファクタリングを使って状況を改善するためにも、まずは取引先とどのような契約を結んでいるか確認してみましょう。
支払い期日など契約内容も見直す
ファクタリングで支払いまでの期間が長い売掛金を資金化しても、支払いまでの期間が長いままだと結局同じような苦境に立たされてしまうことでしょう。
ファクタリングを使いつつ根本から改善するためにも、取引先との契約内容や支払いサイトを見直した上で、必要であれば取引先に契約内容の変更を打診することもコツです。
ファクタリングで売上債権回転率を調整する
取引先との契約を見直しつつ、支払いまでの期間が長い売掛金はファクタリングで適宜資金化します。支払いまでの期間が長い売掛金を優先的に資金化することで売上債権回転率の調整が可能です。
売上債権回転率を改善したい場合は「ファクタリングの活用」と「取引先の契約内容の見直し」を同時並行で行うことがコツになります。
業種や自社に合ったファクタリング会社を見つける
ファクタリング会社にもタイプや特徴があります。業種に特化したファクタリングなどもありますので、自社・業種に合ったファクタリング会社を見つけることが重要です。
業種に合ったファクタリング会社の場合、その業界の資金繰りの問題点なども把握しています。ファクタリング会社という資金調達・資金繰りのプロからアドバイスを受けることも可能です。
ファクタリングで売上債権回転率をアップするメリット
ファクタリングで売上 債権回転率を上げることには次のようなメリットがあります。
・支払い日や債権額などに応じて売掛金を売却できる
・ファクタリングは金融機関の融資のような負債ではない
・ファクタリングは赤字や債務超過、経営難でも使える
ファクタリングを使ったからといって手元の売掛金をすべて売却しなければならないわけではありません。支払い日や売掛金の額などに応じて、必要な債権を必要なだけ売ることが可能です。ファクタリングであれば必要な売掛金だけ売買できるので、資金繰りを調整しやすいのです。
さらに、ファクタリングは債権の売買であり負債ではありません。
ファクタリングは融資と審査基準が異なるため、赤字や経営難、債務超過などでも使えることがほとんどです。資金繰りに困っている会社は赤字や経営難に陥っていることも少なくありません。融資ではこういったケースは審査落ちや断られる可能性が高くなりますが、ファクタリングは債権の売買なので特に問題にならないということです。
ファクタリングで売上債権回転率を上げる方法とは?のまとめ
ファクタリングは売上債権回転率を上げる方法として有効です。資金繰りに困っているならファクタリングの利用を検討してはいかがでしょう。
ファクタリング会社にも業種に特化している会社や特定の債権に強い会社など、さまざまなタイプがあります。自社・業種に合ったファクタリング会社選びをして、状況改善を目指してください。