簡易審査のファクタリングとは?メリットと活用方法を解説
資金繰りに悩む企業やフリーランスの方々にとって、ファクタリングは有効な手段です。しかし、審査が厳しそう、手続きが面倒そうといった不安から、利用をためらっている方も多いのではないでしょうか。
「今すぐにでも資金が必要なのに、時間がかかりそう」
「銀行融資は断られてしまったけど、ファクタリングなら大丈夫かな?」
このような悩みを抱える方々にとって、簡易審査で済むファクタリングは救世主となる可能性があります。ただし、会社の選び方や利用方法によっては、思わぬリスクや高額な手数料を支払わなくてはならない可能性もあるため、注意しなければなりません。
本記事では、簡易審査のファクタリングの活用法をお伝えします。迅速な資金調達を実現しつつ、リスクを最小限に抑える方法を一緒に探っていきましょう。
目次
簡易審査のファクタリングとは?
簡易審査のファクタリングとは、通常よりも審査基準が緩和されており、迅速な資金調達を可能にするしくみです。資金調達を急ぐ企業や個人事業主にとっては、大きな助けとなるでしょう。
簡易審査のファクタリングの特徴
簡易審査の特徴の1つは、審査項目の簡素化です。通常のファクタリングでは、財務諸表や事業計画書など多くの書類が必要ですが、簡易審査の場合、多くが売掛金の内容を証明する書類(請求書など)と、基本的な企業情報のみで審査が行われます。
簡易審査では必要な書類が少ないことから手続きがスムーズに進み、時間を大幅に短縮できます。「今すぐ資金が必要なのに、面倒な手続きで時間を取られたくない」といった不安を軽減できるでしょう。
簡易審査のファクタリングにおけるメリットとデメリット
簡易審査のファクタリングには、通常のファクタリングと異なるメリットとデメリットがあります。これらを理解することで、自社の状況に適した選択ができるでしょう。
メリット:迅速な資金調達と高い審査通過率
簡易審査のファクタリングのメリットはその迅速さにあり、申し込みから入金までの時間が大幅に短縮されます。簡易審査のファクタリングは、多くがオンライン上で申し込み、必要最小限の書類をアップロードするだけで審査が開始されます。審査にかかる時間は利用する会社によって異なりますが、最短で数時間~当日以内に結果がわかることがほとんどです。
明日までに資金が必要といったような切迫した状況でも、簡易審査のファクタリングであれば対応できる可能性が高くなります。また、審査基準が緩やかなため、通過率も高くなります。銀行融資で断られた経験がある企業でも、利用できるケースが少なくありません。
これは、ファクタリングが主に売掛金の質を重視するためです。創業間もない企業や、一時的な業績悪化で財務状況が芳しくない企業でも、優良な取引先の売掛金があれば、簡易審査のファクタリングであれば利用できる可能性が高いでしょう。
簡易審査のファクタリングと銀行融資には違いがあります。銀行融資の場合、審査に1〜2週間、場合によっては1ヶ月以上必要です。これに対し、簡易審査のファクタリングは最短、数時間で審査が完了します。資金調達を急ぐ状況では、簡易審査のファクタリングのスピードが大きな武器となるでしょう。
また銀行融資では、財務諸表、事業計画書の提出が求められ、担保も必要です。一方、簡易審査のファクタリングでは、売掛金の質と取引先の信用度が重視されます。そのため、決算書の数字が良くない、担保となる資産がないといった理由で銀行融資を断られた企業でも、優良な取引先への売掛金があれば、ファクタリングを利用できる可能性が高くなります。
急ぎの資金需要がある、銀行融資では審査に通らない可能性が高い、短期間での返済が可能といった条件が揃っている場合、簡易審査のファクタリングは有効でしょう。
デメリット:手数料と債権譲渡のリスク
簡易審査のファクタリングは、通常のファクタリングや銀行融資と比較して手数料が高くなる傾向があります。これは、審査基準の緩和やスピーディーな処理にかかるコストを反映したものといえます。
資金繰りが厳しいのに、高額な手数料を支払うことになるのではないか、と心配する方もいるでしょう。短期的には負担が大きくなる可能性がありますが、手数料を支払うことで得られる資金と手数料負担を比較し、どちらがメリットが大きいかを検討する必要があります。
ファクタリングの手数料の一般的な相場は、月利に換算すると1〜5%程度となることが多いでしょう。ただし、ファクタリング会社や取引先の信用力、財務状況などによって大きく異なる場合があるため、複数の会社を比較することをおすすめします。
そのほかのデメリットとして、ファクタリングをしたことで取引先との関係に影響が出る可能性があります。取引先によっては資金繰りが苦しいと思われる「信用不安」の発生懸念があるためです。
長年取引のある顧客に対し、急にファクタリングの通知が来ると、これまで順調だと思っていた取引先に何かあったのかと不安を抱く可能性があります。影響を軽減するための対策として、取引先には事前に説明しておくとよいでしょう。
簡易審査を取り入れているファクタリングの概要
オンライン完結型のファクタリングは、簡易審査のファクタリングの中でもとくに注目を集めている手法です。インターネットを通じて申し込みから審査、契約までが完結するため、より迅速な資金調達が可能です。
オンライン完結型の場合、一般的にAI(人工知能)による審査が行われています。
AI審査のしくみと特徴
AI審査は、人工知能(AI)技術を活用して審査を行うシステムで、従来の審査よりも格段に速い審査が可能です。AIが瞬時にデータを分析するため、最短で数分〜数十分程度で審査結果が出ることもあり、緊急の資金需要にも対応可能です。また、人間の審査を介さないため、深夜や休日でも即時に審査を開始できます。連休中に急な資金需要が発生した場合でも利用できます。
また、AIによる一貫した審査基準により、人為的なミスや主観的な判断によるブレを排除できます。利用者の「担当者の気分で審査結果が左右されるのではないか」といった不安を解消できるでしょう。加えて、AIは膨大なデータを瞬時に分析し、人間では気づきにくいパターンや相関関係を認識できるため、業界の動向や季節変動なども考慮した審査もできるでしょう。
AI審査のファクタリングを利用することで、従来では考えられないほど迅速な資金調達が可能です。ただし、AIの判断基準が不透明な場合があるため、審査に通らなかった場合、理由が分かりにくい可能性があります。
簡易審査のファクタリングの傾向
簡易審査のファクタリング会社は、審査が甘いといわれる傾向があります。審査が甘いファクタリング会社の特徴について解説します。
審査が甘いとされるファクタリング会社は、業歴重視ではなく、現在の取引状況を重視し、創業1年未満の企業でも安定した売上があれば利用可能なケースがあります。また、過去の決算書の数字よりも、現在の売掛金の信用度が高ければ、審査に通りやすいでしょう。
また、少額からの利用に対応し、最低利用額を低く設定することで、小規模事業者やフリーランスでも利用しやすくなっていたり、一般的には審査が厳しいとされる業種(飲食業や建設業など)でも柔軟に対応したりする会社もあります。
簡易審査のファクタリングにおけるリスクと注意点
簡易審査を取り入れているファクタリング会社を利用する際は、高額な手数料に注意が必要です。審査基準を緩和することにより、ファクタリング会社のリスクが高くなることで、その分手数料が高く設定されていることが多いでしょう。
手数料が高くなるリスクを考慮し、複数の会社をしっかりと検討して利用することが大切です。
ファクタリング会社を比較する際は、手数料率だけでなく、事務手数料や振込手数料などの追加コストがないか、審査にかかる時間、問題が発生した際のサポート体制についても注意を払い、自社が求めるスピードや、利用のしやすさなどとのバランスを取って選択することが大切です。
簡易審査のファクタリングを成功させるポイント
簡易審査のファクタリングを効果的に活用するためのポイントを解説します。
審査を通過するために
簡易審査で審査が甘いとはいっても、確実に審査に通過するためには、一定の書類は必要です。不備がないよう、事前にしっかりと準備しましょう。
一般的には、運転免許証などの本人確認書類、請求書や注文書などの売掛金を証明する書類、銀行取引明細などが求められます。もれなく準備できていれば、時間を大幅に短縮できるでしょう。
オンライン完結型では、すべての書類をアップロードで提出することになるため、スキャナー等でデータ化する必要があります。
また、簡易審査ではあっても、一般のファクタリング同様、売掛金の質と取引先の信用度は非常に重要です。できる限り、大手企業や上場企業、官公庁などの信用度の高い売掛金を用意することで、審査通過の可能性は高くなるでしょう。加えて、一時的ではなく長期的な取引がある取引先の売掛金の方が評価されます。
さらに、取引先の支払いが常に期日通りであることを示す証拠があれば有利に働きます。あらかじめ、審査通過の可能性が高まる準備をしておくことで、簡易審査のファクタリングの通過率を大幅に向上させられるでしょう。
簡易審査のファクタリングとは?メリットと活用方法を解説 まとめ
簡易審査のファクタリングは、通常のファクタリングよりも審査を簡略化し、よりスピーディーな資金調達を実現したファクタリングです。書類の種類が少ないことから、手続きに手間がかからずスムーズに審査が進むでしょう。
また、簡易審査のファクタリングの多くはオンライン完結型であり、審査はAIが行います。結果が出るまでに数時間~1日程度しかかからないことから、資金調達までの時間を大幅に短縮できます。
簡易審査ファクタリングを効果的に活用するためには、適切なリスク管理と長期的な視点が欠かせません。ファクタリングを利用する際は、手数料やその他のコストを常に意識する必要があります。売掛金の回収時期や金額を正確に把握し、返済に支障がないことを確認するなど、詳細な返済計画を立てましょう。
また、ファクタリングが取引先との関係に悪影響を与えないよう、必要に応じて事前の説明や了承を得ることも検討する必要があります。
簡易審査のファクタリングは、使い方次第で強力な味方となります。ただし、依存しすぎなど、使い方を誤れば逆効果です。自社の状況に合わせ、適切に活用してください。