ファクタリングと貸付の違いは?使い分けやメリットなどを分かりやすく解説
融資などの貸付は資金調達方法としてよく使われています。
ファクタリングも会社をはじめとして個人事業主などにもよく使われる資金調達方法ですが、融資などの貸付とは何が違うのでしょうか。
この記事ではファクタリングと銀行の貸付の違いについて解説します。ファクタリングと銀行などの貸付を使い分ける方法についても説明しますので、資金調達方法の使い分けで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ファクタリングと貸付とは?
ファクタリングと貸付は共に資金調達方法として使われています。
まずはファクタリングと銀行などの貸付の基本について説明します。ファクタリングと融資などの貸付はそれぞれどのような資金調達方法なのでしょう。
ファクタリングとは
ファクタリングとは債権の譲渡・売却によって資金調達する方法です。
ファクタリングでは会社や個人事業主などが持っている売掛金などの債権をファクタリング会社に売り渡します。資金調達方法と言えば「借りる」印象が強いかもしれませんが、ファクタリングは借りる方法ではなく、債権の譲渡・売却によって資金を得る方法です。
たとえば、A社が取引先であるB社から受け取る100万円の売掛金があったとします。A社とB社には売掛金を月末に支払いするという契約があったため、A社がどれだけ資金を必要としていても月末にならないと支払いを受けることはできません。
A社は資金繰りの関係で月末前に現金が必要だったため、ファクタリング会社に100万円の売掛債権を売却してお金を受け取りました。これがファクタリングによる資金調達方法と具体例です。
ファクタリングのメリットとデメリット
ファクタリングは有効活用すれば手元にある債権で柔軟な資金調達ができます。しかしながらデメリットもある方法です。
ファクタリングを利用する際はメリットとデメリット を参考に「状況に合っているか」「望む資金調達を実現できるか」をよく検討する必要があります。
【ファクタリングのメリット】
・融資などの貸付と比較して迅速な資金調達が可能である
・ファクタリングによる資金調達には担保や保証人が不要である
・融資などの利用が難しい赤字や税金滞納、債務超過でも「債権の売買」なので使える
・ファクタリングは債権や取引先のリスク対策にも使える
ファクタリングがリスク対策にも使えると言うのは、債権を売却することによって取引先の未払いや倒産などのリスクと無縁になるからです。ファクタリングは資金調達や資金繰りの改善、債権や取引先のリスク対策方法としてよく使われています。
【ファクタリングのデメリット】
・売却できる債権がないと資金調達できない
・ファクタリングには手数料がかかる
・ファクタリング会社や債権によっては使えないことがある
ファクタリングを利用するためには手数料がかかります。売掛債権100万円を譲渡・売却したからといって満額の100万円を受け取れるわけではありません。
ファクタリングは会社によって利用条件があります。「フリーランスNG」と言う条件を定めている会社の場合、フリーランスは利用対象外になってしまいます。
また、債権なら何でも譲渡・売却の対象になるわけではなく、会社が定める条件などによって資金化できないこともあります。
貸付とは
貸付とは「お金を借りること」 によって資金調達する方法です。銀行の融資などが貸付の代表的なサービスだと言えるでしょう。
貸付には公的な貸付と民間の貸付があります。
公的な貸付とは国や自治体からお金を貸してもらうことです。民間の貸付とは銀行など民間の会社・組織からお金を貸してもらうことです 。
貸付のメリットとデメリット
ファクタリングにもメリットとデメリット があるように、貸付にもメリットとデメリットがあります。
【貸付のメリット】
・融資などの貸付はまとまった金額を調達できる
・お金を借りる方法なので債権がなくても資金調達できる
ファクタリングは債権がないと使えませんが、貸付は債権がなくても使えます。
融資などの貸付はまとまった金額を調達できるというメリットもあります。
【貸付のデメリット】
・貸付の実行までは時間がかかる
・貸付の後は返済を続けなければならない
・返済は利息を含めた金額になる
・銀行融資はファクタリングと比較して審査が厳しい
一般的に融資などの貸付はファクタリングより資金調達に時間がかかってしまいます。ファクタリングは資金を最短即日調達できますが、融資などの貸付では月単位の時間がかかってしまうことも珍しくありません 。
また、融資などの貸付で注意したいのは、お金の貸し借りなので、資金調達後には返済が待っているという点です。
返済は利息を含めた金額になります。融資などの貸付で100万円を借りたらそれ以上の額を返済しなければいけません。
ファクタリングと貸付の11の違い
ファクタリングと 貸付には11の違いがあります。
ファクタリングと貸付の違いは資金調達方法を使い分ける上で重要なポイントです。
ファクタリングと貸付は性質が違う
ファクタリングは債権の譲渡・売却、つまりファクタリング会社と行う債権の売買です。対して銀行融資などの買い付けは債務(借金)です。ファクタリングと貸付では性質が異なります。
ファクタリングと貸付では対応会社が違う
ファクタリングはファクタリング会社が窓口になっています。貸付は銀行や信用金庫などの金融機関が窓口です。ファクタリングと貸付ではサービスを提供している会社・組織が異なります。
ファクタリングと貸付は調達できる額が違う
ファクタリングと融資などの貸付では調達できる金額が違います。
ファクタリングで調達できる最大額は債権額です。100万円の債権であれば、最大で100万円までしか資金調達できません。実際は手数料などが引かれてしまうため、受け取れる金額はさらに小さくなります。
貸付にはこのような制限はありません。貸付の契約内容によりますが、1,000万円以上などの高額の資金調達も可能になっています。
ファクタリングと貸付は資金調達完了までの期間が違う
ファクタリングと貸付では資金調達完了までの期間に違いがあります。
ファクタリングは最短即日の資金調達が可能です。時間がかかる場合でも1週間~2週間で資金調達が完了します 。
貸付は利用するサービス内容によりますが、銀行融資などは資金調達までに1カ月ほどかかることも珍しくありません 。
一般的に融資などの貸付よりファクタリングの方が資金調達までの期間が短くなっています。
ファクタリングと貸付では審査基準が違う
ファクタリングと銀行などの融資では審査基準が違っています。
ファクタリングは債権の譲渡・売却なので、主な審査対象は債権の内容や取引先の信用力などです。利用者である会社や個人事業主の赤字や税金滞納、債務超過などは審査にあまり関係ありません。したがって、利用者が赤字や税金滞納、債務超過などでもファクタリングを利用できることがほとんどです。
銀行などの融資では「返済できるか」が重要なので、申込者が赤字や税金滞納、債務超過などの場合は審査落ちの可能性がかなり高いと言えるでしょう。返済に難が出てしまう可能性が高いからです。
ファクタリングと貸付ではこのように審査基準が違っています。
ファクタリングと貸付では返済方法が異なる
ファクタリングは債権の譲渡・売却です。お金を借りる方法ではないため、返済義務はありません。2社間ファクタリングでは債権を回収した後にファクタリング会社へ回収分を渡さなければいけませんが、融資などの貸付を受けたときの返済とは違います。
融資などの貸付だと、借りた金額に利息を付して計画的に返済を続けなければいけません。
ファクタリングと貸付では会計・仕訳が異なる
ファクタリングは債権の譲渡・売却なので借り入れではありません。そのため、会計・仕訳で負債に計上されることもありません。融資などの貸付は借り入れなので会計・仕訳で負債に計上されるという違いがあります。
ファクタリングと貸付では取引先の立場が異なる
ファクタリングと融資などの貸付では取引先の立場が違っています。
融資などの貸付では取引先は基本的に関与しません。対してファクタリングは取引先が手続きに関与することがあります。
3社間ファクタリングは申込者と取引先、ファクタリング会社で手続きを進める方法です。
3社間ファクタリングで債権を資金化するときは取引先が関与します。
ファクタリングと貸付では追加の資金調達時も異なる
ファクタリングは債権さえあれば追加で資金調達することも自由です。融資などの貸付だと銀行が「追加でお金を貸しても返済できそうだ」と判断すれば追加で資金調達できます。
債権さえあれば自由に資金調達できるのがファクタリングです。融資は返済能力が認められなければ追加の資金調達は難しいと言えるでしょう。
ファクタリングと貸付では信用情報への影響が違う
ファクタリングと融資などの貸付では信用情報に与える影響が違っています。
ファクタリングは債権の譲渡・売却なので基本的に信用情報には影響を与えません。融資などの貸付は契約や返済が信用情報に記録されます。貸付分の返済を滞納すると、信用情報に影響を与えてしまいます。
ファクタリングと貸付では使途の制約が異なる
ファクタリングと貸付では 調達した資金の使途に制約があるかどうかが違っています。
ファクタリングで調達した資金には使途の制限はありません。融資などの貸付の多くは資金の使途に制限があります。たとえば住宅ローンなどは住宅関連のことに使う必要がありますし、自動車ローンは自動車関連のことが基本的な使途です。
ファクタリングと融資やローンなどの貸付では調達した資金の使途・制限が異なっているわけです。
ファクタリングと貸付を使い分けるポイント
会社や個人事業 主が資金調達したいときは「ファクタリングと貸付のどちらを利用すべきか?」と悩むことがあります。
ファクタリングと貸付はどのように使い分けるべきなのでしょうか。ファクタリングを使いたいケースと貸付を利用したいケースについて説明します。
ファクタリングの活用がおすすめのケース
融資などの貸 付ではなくファクタリングを利用したいのは次のようなケースです。
・赤字や債務超過、経営難などで融資など貸付の審査パスが難しいケース
・急いで資金調達したいケース
・リスク管理などの観点から早めに資金化したい債権があるケース
・融資などの貸付と併せてファクタリングを有効活用したいケース
・資金繰りを早期に改善したいケース
・複数の債権の管理が負担になっているケース
貸付の活用がおすすめのケース
融資などの 貸付を活用したのは次のようなケースです。
・手元に資金化できる債権がないケース
・まとまった高額の資金を調達できるケース
・銀行など金融機関から「融資を受けないか」と勧誘を受けているケース
ファクタリングと貸付の違いは?使い分けやメリットなどのまとめ
ファクタリングと融資などの貸付では「負債である」「返済が必要である」などの違いがあります。ファクタリングと融資などの貸付を使い分けるときは、それぞれの違いを比較して決めることが重要です。
ファクタリングと貸付の違いを理解して、ニーズや事情に合った資金調達を行ってください。