確実に通るファクタリングにするためには、何が必要?ポイントを解説
資金繰りに悩む企業は少なくありません。売掛金をすばやく現金化できるサービスであるファクタリングは、企業を支える強力な味方です。しかし「審査が厳しそう」「リスクが心配」といった不安から、踏み出せずにいる経営者も少なくありません。また、実際に申し込んでも、審査に通らないケースもあるでしょう。
そこで、この記事では、ファクタリングの審査に確実に通るためのポイントを解説します。信用力を向上するにはどうしたらいいのか、必要書類の準備や事業内容の明確化など、ファクタリングを成功させるための具体的な方法を紹介します。また、メリットに加えて利用時の注意点についても解説し、安全で効果的な活用方法をお伝えします。
目次
ファクタリングの基本と審査基準
ファクタリングを利用して資金調達をするには、各会社が設定している審査を通過しなければなりません。ここでは、ファクタリングの概要と審査基準について解説します。
ファクタリングとは
ファクタリングは、企業が資金不足をまかなうために売掛債権を売却し、資金化するサービスです。利用者の信用力よりも売掛債権自体を評価するため、融資の利用がしにくい中小企業や新興企業にとって、有効な資金調達方法といえます。ファクタリングにより、資金繰りの改善や事業拡大のための資金確保が可能です。
審査基準の概要
審査では、売掛先の支払い能力や信用・財務状況などの「信用力」が重視されます。そのほかにも売掛先との取引関係の安定性や継続性、回収リスクや支払期日までの日数、企業が属する業界の景気動向や将来性なども評価の対象になるといわれています。
審査基準は会社によって異なりますが、一般的にはこれらの要素が総合的に評価された結果、審査を通過できれば売掛債権の金額から、手数料分が差し引かれた金額が入金されます。
審査に確実に通るためのポイント
審査に確実に通るためには、信用力が高い売掛債権を用いることに加え、自社の信頼性と事業の健全性をアピールする必要があります。そのためには準備が肝心です。提出を求められる書類に不備がないか、慎重に見直しましょう。
そのほか、資金使途や返済計画を含む具体的な事業計画を立て、自社の与信管理体制を整備し、リスクを低減することも役立ちます。業界の最新動向や将来展望を理解しておくことも確実に通るには必要でしょう。
審査に確実に通るためのポイント 1.信頼性が高い債権を利用する
審査では、確実に売掛金を回収できるかどうかが重視されます。財務状況が良好であり、取引の実績がある、信用度の高い債権を利用しましょう。また、官公庁や自治体、大手企業などと取引がある売掛先の債権も審査で有利となります。
また、売掛金の回収日が近い売掛債権を準備することも忘れないようにしましょう。どのような条件が低リスクなのかを考え、その条件に合った債権を使うことが大切です。
審査に確実に通るためのポイント 2.財務状況の改善
自社の財務状況の改善は、審査に確実に通るために必要です。具体的には、利益率の改善や不採算事業の見直しを行い、収益性の向上を図る、在庫管理の最適化や固定資産の有効活用を図るといった対策を行いましょう。
そのほか、過剰な借入金の返済や資本増強を検討したり、売掛金回収の早期化や支払サイトの見直しを行ったり、自己資本比率や流動比率などの主要指標を定期的にチェックしたりといった対策も、審査に確実に通るには有効です。
これらの対策を実施することで財務体質が強化されると、評価が向上し、確実に通るファクタリングに近づくでしょう。
審査に確実に通るためのポイント 3.取引先との関係強化
取引先との良好な関係は、審査に確実に通るための重要な評価ポイントとなります。関係強化のためには、取引先との積極的なコミュニケーションが鍵となるでしょう。定期的な訪問や情報交換を行い、信頼関係を構築できれば、支払条件や納品方法など、双方にとって有利な取引条件を交渉できる可能性があります。
また、製品やサービスの品質を向上させ、取引先の満足度を高めたり、新製品開発や市場開拓など、取引先と協力して事業を展開したりすることも関係性を強化するのに役立つでしょう。また、支払い履歴を適切に管理し、延滞や遅延を防止することも大切です。
これらの取り組みにより、取引先との関係が強化され、安定的な取引が継続できていることをアピールできます。取引先との良好な関係は、審査において重要な評価ポイントとなり、確実に通るファクタリングに近づけるでしょう。
審査に確実に通るためのポイント 4.必要な書類を不備なく準備する
ファクタリングを利用するには、さまざまな書類の提出が必要です。現在の財務状況を明確に示す、最新の書類を用意しましょう。また、主要取引先の信用情報や取引履歴を整理しておくことも、確実に審査に通るために大切です。
審査において、適切な書類の準備は非常に重要です。提出を求められることが多い基本的な書類には請求書や登記簿謄本などがありますが、そのほかにも以下のような書類を準備しておくと安心でしょう。
・取引先リスト:主要取引先の情報(企業名、取引金額、取引期間など)を整理しリスト化したもの
・売掛金明細:売掛金の内訳や支払期日を明確に示した資料
・事業計画書:今後の事業展開や資金計画を具体的に記載したもの
・会社案内:自社の事業内容や強みを簡潔にまとめた資料
・与信管理資料:自社の与信管理体制や債権回収状況を示す資料
これらの書類を準備することにより、自社の信頼性と事業の健全性を効果的にアピールでき、確実に通るファクタリングに近づくでしょう。
審査に通らない理由とは
確実に通るファクタリングに近づくために、どうなると審査に通らないのかを理解しておけば、対策しやすくなります。審査に通らない理由は、大きく3つに分けられます。
企業と売掛債権の信用力が低い
審査で重視されるのは売掛債権の信用力ですが、利用企業の信用力も問われないわけではありません。ファクタリングは、売掛債権および利用企業が信用できる、つまり売掛金を回収できる可能性が高いと認められなければ利用できません。売掛先の経営状態や自社の支払い実績に問題があると、申し込んでも審査を通過できない可能性が高くなります。
必要書類が不足している
ファクタリングを申し込むと、前項で触れたとおり、売掛金の証拠となる請求書などの書類や、財務状況を示す財務諸表などの提出が求められます。書類が不足していると、審査が長引いたり、申請が通らなかったりすることがあります。
事業内容が不明確
ファクタリング会社は、リスク回避のために企業の事業内容や成長性について把握したいと考えています。事業内容が不明確だと、承認が得られない可能性があります。
申込から資金調達までの手順
ファクタリングを申し込むと、資金調達までにどのような手続きを踏む必要があるのかについて解説します。
事前相談と見積もり
本申込みの前に事前に相談し、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。ファクタリング会社に連絡し、自社の状況や資金需要を説明しましょう。会社概要や財務状況、取引先情報などの基本的な情報が必要となるため、あらかじめ準備しておくとスムーズです。
見積もりは複数の会社に依頼し、おおまかな手数料や利用可能額についての情報を得ます。複数の会社で見積もりを取るのは、条件を比較するためです。
条件面で最適と思われる会社と相談を行い、具体的なプランを検討します。この段階で、ファクタリング会社の対応や提示される条件を慎重に評価し、自社にとって最適な会社を選ぶことが重要です。
必要書類の提出
ファクタリングの申し込みには、会社によって多少の違いがあります。一般的に必要な書類は以下の通りです。
・法人登記簿謄本:会社の基本情報を証明する書類
・決算書:直近(多くの場合3期分)の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書など
・試算表:直近の試算表
・売掛金明細:対象となる売掛金の詳細な内訳
・取引先情報:主要取引先の会社概要や信用情報
・納税証明書:税金の滞納がないことを証明する書類
・印鑑証明書:会社の実印の証明書
・代表者の本人確認書類:運転免許証やパスポートのコピー
書類をもれなく提出することで、スムーズな審査が期待できます。もし追加で求められる書類がある場合は、速やかに対応しましょう。
審査と契約
書類提出後、審査が行われます。審査では、提出された書類の内容が精査されます。必要に応じて、追加の情報や書類の提出を求められるケースも珍しくありません。
審査が完了すると、結果と具体的な契約条件が通知されます。契約内容を慎重に確認し、不明点があれば質問しましょう。契約内容に問題がなく合意に達した場合、契約書に署名・捺印します。契約が締結されると、指定された口座に資金が振り込まれます。
対面型のファクタリングを利用する場合、審査から契約締結までの期間は、会社や案件によって異なりますが、1週間以上かかることも少なくありません。もし書類に不備があると、さらに時間がかかってしまうため注意しましょう。資金調達を急ぐ場合は、オンライン完結型のサービスがおすすめです。
ファクタリングのリスクと注意点
ファクタリングは融資による借り入れよりも審査が厳しくなく、スピーディーな資金調達が可能です。しかし、利便性が高いからといって、依存しすぎると手数料により利益を圧迫する可能性があります。また、取引先との関係への影響にも配慮しなければなりません。
過度な依存のリスク
ファクタリングは有効な資金調達手段ですが、過度な依存には以下のようなリスクがあります。
・資金調達コストの増加
・財務体質の悪化
・事業拡大の制限
・取引先の選別
ファクタリングを継続的に利用したことで手数料の負担が増大し、利益を圧迫する可能性は少なくありません。また、コストカットなどの本質的な財務改善を怠り、一時的な資金繰り改善に頼ってしまう危険性もあります。
また、会社によって調達限度額が決まっており、売掛債権額以上の金額は調達できません。利用額の上限により、事業拡大の機会を逃す可能性もあるでしょう。
これらのリスクを回避するために、ファクタリングを一時的な資金調達手段として位置づけ、同時に本質的な財務体質の改善や事業の効率化に取り組むことが大切です。また、定期的に財務状況を見直し、ファクタリングへの依存度を管理する必要があるでしょう。
取引先への影響
ファクタリングを利用する際、取引先への影響を慎重に考慮する必要があります。ファクタリングにより、売掛先に資金繰りが悪化していると誤解されるかもしれません。
とくに、売掛先がファクタリングについての理解が浅い場合、長年の取引関係に基づく信頼関係が損なわれる可能性があります。
こうした影響を最小限に抑えるためには、取引先への丁寧な説明と理解を得ることが重要です。ファクタリングを利用する理由や、取引関係への影響がないことを明確に伝え、信頼関係を維持する必要があるでしょう。
確実に通るファクタリングにするためには、何が必要?ポイントを解説まとめ
ファクタリングは、資金繰り改善や事業拡大のための資金調達などに有効な手段です。確実に審査を通るためには、リスクを最小限に抑える必要があります。
審査に確実に通るためには、売掛債権と自社の信用力が大切です。売掛先の財務状況は健全か、一定期間以上の継続した取引はあるか、支払期日が遠すぎないかなどのチェックが欠かせません。
また、売掛債権ほどではありませんが、自社の信用度も高めておくと確実です。それには、財務状況を改善し、取引先との関係を強化する必要があるでしょう。加えて、ファクタリング会社から評価されて審査に確実に通るには、書類の準備を怠らないことも大切です。
申し込みから資金調達までの手順を理解し、適切に対処することで、スムーズな取引が可能になります。同時に、取引先への影響や過度な依存のリスクなどにも十分注意を払う必要があるでしょう。
ファクタリングは依存するのではなく、戦略的に活用することで資金繰りが改善されます。それによって事業拡大の機会を逃さず、持続的な成長を実現できるでしょう。そのためには、確実に審査に通ることが必要です。
一時的な資金調達手段であることを認識し、並行して財務体質の改善や事業効率化にも取り組むことが、長期的な企業価値の向上につながります。