ファクタリングの利用履歴は残る?信用情報との関係を解説
ファクタリングを利用すると、多くの人々が自社の信用情報に影響すると誤解しています。しかし、ファクタリングは借入れではなく、利用しても履歴は信用情報機関には残りません。また、ファクタリングを利用する際、ファクタリング会社では利用者の信用情報照会は行いません。そのため、決算が赤字であったり、過去に支払い遅延などの事故があったりした企業でも、利用できる可能性があります。
ファクタリングの利用履歴は、ファクタリング会社には顧客情報として残ることが考えられます。ただし、これは将来、再び取引することがある場合の参照のため、あるいは必要応じて顧客に提供するためです。
利用履歴が残らず、信用には影響しないファクタリングは、多くの企業にとってメリットが多い資金調達の方法といえるでしょう。
目次
ファクタリングの利用履歴は残る?
ファクタリングは、ファクタリング会社を通じて行います。
ファクタリング会社では、顧客を管理する目的で利用履歴を記録しますが、信用情報機関にファクタリングの利用履歴が残ることはありません。
これは、ファクタリングが「資金の借り入れ」ではなく「債権の譲渡」であることが理由です。
ファクタリングの基礎知識
資金調達を目的としたファクタリングは、企業が商品やサービスを売り上げた代金である売掛金(売上債権)をファクタリング会社に譲渡し、前倒しで資金化するサービスです。売掛金の支払期日を待たずに資金を調達できるため、資金繰りの改善に役立ちます。
ファクタリングは、資金の借り入れではなく「債権譲渡」であることがポイントです。
債権譲渡は企業の資金調達手段の一つですが、借り入れは企業が金融機関から資金を借りる行為であり、目的や仕組みが異なります。
ファクタリングの利用履歴
ファクタリングを利用すると、ファクタリング会社では顧客情報として利用履歴が残ることになります。しかし、これはあくまでもファクタリング会社の情報です。
ファクタリングは借り入れではなく、売掛金(売掛債権)の現金化(譲渡)のため、利用履歴は信用情報機関に登録されません。
・信用情報と信用情報機関
信用情報とは、企業(法人)の場合、融資の利用状況や借り入れの履歴などの情報のことです。金融機関などが、企業(法人)の信用力を判断するために利用します。
信用情報に含まれるのは、融資・借り入れの利用履歴、返済状況(延滞情報など)、所在地や代表者名などの登録情報です。
信用情報機関とは、信用情報を収集・管理・提供する機関です。金融機関からの照会に応じて、信用情報を提供する役割があります。信用情報の取り扱いは厳格な基準が設けられており、金融取引の健全性を支えるために重要な機能を果たしています。
基本的にファクタリングは、利用したとしても信用情報に登録されることはありません。
融資の場合は、信用情報の照会によって審査が通らない事例や、借り入れの履歴により、新規の利用が難しくなる事例がありますが、ファクタリングではそういった事態にはなりません。
ただし、ファクタリング会社は売掛先(売掛債権)の信用力を重視します。そのため、売掛先の信用情報は審査時に調査します。ファクタリングでは、利用者ではなく売掛先の情報を確認するために、信用情報機関が使われると理解しておきましょう。
将来的に融資を受ける予定がある場合、資金繰りの改善には、信用情報に影響しないファクタリングを利用するのがおすすめです。
売掛金の入金が遅れた場合や、急に大きな出費があるといった場合に、ファクタリングは一時的な資金調達方法として有効です。
融資の場合
一方、企業が銀行などの金融機関や消費者金融を利用して資金を借り入れりる場合、その利用履歴は信用情報機関に残ることになります。
企業(法人)の信用情報機関は、JICC(日本信用情報機構)です。JICCには、銀行をはじめ、消費者金融やカード会社、信用保証協会などさまざまな会社が加盟しています。
JICCには、法人名や所在地などの特定情報のほか、連帯保証人、融資などの契約内容、融資金額や限度額、残高、返済や延滞状況など、企業の借り入れ状況がわかる情報が登録されています。
JICCに登録された企業の情報は、金融機関から借り入れをする際に参照されます。信用情報にマイナスになる部分がなければ、新たに融資を受ける際に審査において有利です。
返済遅延などで信用情報が悪化すると、次回の融資が受けづらくなります。信用情報が良好であることが、融資を受けるためには重要です。
信用情報機関に過去の延滞などの事故が記録されると、一定の期間(5年~10年)その情報は消えません。そのため、企業は信用情報について定期的に見直す必要があるでしょう。信用情報の開示や更新は、信用情報機関に直接連絡して行います。
ファクタリングの利用履歴
ファクタリングの利用履歴は、信用情報機関に残ることはありません。では、ファクタリングの利用履歴はどこに残るのでしょうか。ここでは、ファクタリングの利用履歴の確認方法について解説します。
ファクタリングの利用履歴を確認できるもの
ファクタリングの利用履歴は、以下で確認できます。
ファクタリング会社の記録
ファクタリング会社は、ファクタリングの契約時や売掛金回収時の記録を残しています。たとえば、売掛金の入金日や、手数料の支払い履歴などが記録されています。
銀行口座の取引履歴
ファクタリングによる売掛金の入金や、手数料の支払いが銀行口座に記録されます。銀行取引の詳細がわかる明細を見れば、ファクタリングの利用履歴がわかるでしょう。
会計帳簿
ファクタリングによる売掛金の回収や手数料の支払いは、帳簿に記録されるため、経理担当者に確認すれば、ファクタリングの利用履歴を確認できます。
必要書類の提出記録
ファクタリング利用時には、本人確認書類や請求書や納品書などの売掛金を証明する書類、決算資料などの提出が求められます。これらの提出記録からも、ファクタリングの利用履歴を確認が可能です。
ファクタリングの利用履歴は、ファクタリング会社の記録、銀行の取引履歴、帳簿、提出書類などでわかります。ファクタリングを利用する企業は、適切な資金管理をするために、自社の利用履歴について把握しておくことが必要です。
ファクタリングの利用履歴は共有される?
ファクタリングは、企業が売掛金を金融機関に売却して現金化する方法です。借り入れとは異なるため、ファクタリングの利用履歴は信用情報として残ることはありません。
では、ファクタリング会社同士で、利用履歴をはじめとした顧客の情報が共有されることはあるのでしょうか。ここでは、ファクタリング会社での情報共有について解説します。
銀行やカード会社などの金融業界では、信用情報機関を通じて利用者の情報を共有し、融資の判断材料にしています。しかし、ファクタリング会社の場合は、メリットが少ないため、利用履歴などの情報を共有することはほとんどありません。
ファクタリング会社同士はライバル関係にあること、ファクタリングは債権譲渡であり、融資ではないことなどから、情報を共有する必要がないためです。
ファクタリング会社は増加しており、競争が激しくなる中、顧客情報が他社に知られると、乗り換えられる可能性があります。そのため、あえて他社と情報を共有することはないのです。
また、ファクタリングの審査では、利用者の企業が審査対象ですが、ファクタリングでは売掛先(売掛債権)が審査対象です。ファクタリング会社が利用者の情報を共有しても、審査には必要ありません。
ただし、以下の状況では、利用履歴を調べられたり、情報共有されたりするケースがあります。
利用履歴が調べられるとき
ファクタリング会社同士で、利用者の情報を共有することはありませんが、利用履歴を調べることはあります。
利用履歴を調べるのは、債権譲渡登記を確認する場合と、ファクタリング会社をのりかえる場合です。
2社間方式のファクタリングでは、原則、債権譲渡登記が必要です。債権譲渡登記は、売掛債権を持っているのが誰かを明らかにするために登記(法務局で登録すること)することで、仮に誰かが債権の所有について異議を申し立てた場合、所有していることを証明します。
ひとつの債権を複数の会社に譲渡する「二重譲渡」が疑われる際に、債権譲渡登記情報を調べ、誰が所有しているのかを調べることがあります。登記された情報は、誰でも閲覧可能であるため、残る利用履歴を調べられる可能性があるといえるでしょう。
ファクタリング会社の乗り換えをする場合も、利用履歴を調べられる可能性があります。
のりかえ先の会社は、もともと取引されていた会社の条件よりも好条件にする必要があります。その際、もとの利用状況を調べるため、利用履歴を調べることになるでしょう。
不正利用された場合
実際には存在しない売掛債権を売却したり、ファクタリング後に売掛先を倒産させたりする詐欺行為や、二重譲渡などの不正利用に対抗するために、ファクタリング会社が情報を共有することがあります。
二重譲渡されていることがわかった場合、事実関係の確認をしなければなりません。二重譲渡されたファクタリング会社は、協力して問題に対処する必要があります。
また、闇金業者、違法業者を利用した場合、違法なファクタリング会社同士で情報を共有しています。
違法業者を利用したことで、別の闇金業者などの悪徳組織に情報が流れる可能性があるため注意が必要です。違法なファクタリングや貸付けなど、犯罪に巻き込まれるかもしれません。
ファクタリングの利用履歴とメリット
ファクタリングの利用により資金繰りが改善されることで、企業の信用力が高まる可能性があります。売掛金の早期回収により財務状況が好転し、金融機関からの評価が高まれば、将来、借り入れをするときにも有利になるかもしれません。
ファクタリングの利用履歴が残ることは、自社の信用を高めるといえます。
信用情報の改善
-ファクタリングにより早期に売掛金が回収できるため、資金繰りの改善に役立ちます。良好な資金繰りは企業の信用力を高めるため、金融機関からの借り入れに有利でしょう。
ファクタリングの利用実績がある企業は、金融機関から「資金調達能力」が高いと評価され、他の審査で有利に働くことがあります。
ファクタリングは融資に比べて審査などの面で利用しやすく、資金繰りに困る企業にとって、欠かせない存在といえるでしょう。ファクタリングの利用履歴が残ることで、信用力が高くなり、他のサービスを受けやすくなる可能性があります。ファクタリングの利用は、資金調達のための手段が増えることにつながるといえます。
ファクタリングの利用履歴は残る?信用情報との関係を解説まとめ
ファクタリングの利用履歴は、利用したファクタリング会社においては顧客情報として残ります。しかし、融資のように信用情報として残ることはなく、利用したことで次回使いにくくなるといったことはありません。
また、ファクタリング会社同士はライバルであるため、競争が激化する現在、情報を共有する理由はありません。
しかし、債権譲渡登記情報を調べたり、メインのファクタリング会社をのりかえたりする場合は残る利用履歴を調べられることがあります。
ファクタリングの利用履歴が残ることで、企業の資金繰りが改善した結果、評価が上昇、将来融資を受ける際に有利になる可能性があります。
では、ファクタリング会社同士で、利用履歴をはじめとした顧客の情報が共有されることはあるのでしょうか。ここでは、ファクタリング会社での情報共有について解説します。
ファクタリング会社は増加しており、競争が激しくなる中、顧客情報が他社に知られると、乗り換えられる可能性があります。そのため、あえて他社と情報を共有することはないのです。
利用履歴を調べるのは、債権譲渡登記を確認する場合と、ファクタリング会社をのりかえる場合です。
ひとつの債権を複数の会社に譲渡する「二重譲渡」が疑われる際に、債権譲渡登記情報を調べ、誰が所有しているのかを調べることがあります。登記された情報は、誰でも閲覧可能であるため、残る利用履歴を調べられる可能性があるといえるでしょう。
のりかえ先の会社は、もともと取引されていた会社の条件よりも好条件にする必要があります。その際、もとの利用状況を調べるため、利用履歴を調べることになるでしょう。
二重譲渡されていることがわかった場合、事実関係の確認をしなければなりません。二重譲渡されたファクタリング会社は、協力して問題に対処する必要があります。
違法業者を利用したことで、別の闇金業者などの悪徳組織に情報が流れる可能性があるため注意が必要です。違法なファクタリングや貸付けなど、犯罪に巻き込まれるかもしれません。
ファクタリングの利用履歴が残ることは、自社の信用を高めるといえます。
ファクタリングの利用実績がある企業は、金融機関から「資金調達能力」が高いと評価され、他の審査で有利に働くことがあります。
また、ファクタリング会社同士はライバルであるため、競争が激化する現在、情報を共有する理由はありません。
しかし、債権譲渡登記情報を調べたり、メインのファクタリング会社をのりかえたりする場合は残る利用履歴を調べられることがあります。
ファクタリングの利用履歴が残ることで、企業の資金繰りが改善した結果、評価が上昇、将来融資を受ける際に有利になる可能性があります。