ファクタリングとインボイスファイナンスの関係とは?それぞれの特徴を解説
中小企業・小規模の事業者は、従来の金融機関の融資や不動産担保融資を受けるのが難しく、資金調達がなかなか難しいケースもあります。
しかし、「インボイスファイナンス」を利用すれば、中小企業・小規模の事業者でも資金調達がしやすく、短期的な資金繰りの安定に役立つはずです。
インボイスファイナンスには、インボイス(請求書)を活用した債権譲渡であるインボイスディスカウントファイナンスとファクタリング、ABLがあります。
この記事では、インボイスディスカウントファイナンス・ABL・ファクタリングのそれぞれの特徴と、そのメリット・デメリット等について解説します。
目次
インボイスファイナンスとは?
インボイスとは請求書や発注書などを指す言葉です。
つまり、インボイスファイナンスは請求書や発注書などを活用した資金調達方法です。
事業者であれば最近、インボイスという言葉を良く耳にするのではないでしょうか。
ここでは、話題のインボイス制度との関係性やインボイスファイナンスの種類を解説します。
インボイス制度との関係性
2023年の10月からインボイス制度が開始されます。
従来までは年間所得1,000万円を超える課税事業者だけ消費税の納税が必要でした。
しかし、インボイス制度が始まると年間所得が1,000万円未満の免税事業者も消費税を支払う必要性が出てくるのです。
なお、必ずしも免税事業者がインボイス登録する必要はありませんが、売掛先が二重で消費税を支払わなければならないため、契約に支障が出る恐れがあります。
インボイス制度とインボイスファイナンスという言葉は似ているものの、関係性はありません。
インボイス登録をせずともインボイスファイナンスは利用できますので、その点は覚えておきましょう。
インボイスファイナンスは3種類に分けられる
売掛債権を活用する資金調達方法のインボイスファイナンスには、インボイスディスカウントファイナンス・ABL・ファクタリングの3種類あります。
どれも売掛債権を活用して資金を得る仕組みは変わりません。
ただし、細かい特徴やメリット・デメリットが異なります。
ここからは、インボイスディスカウントファイナンス・ABL・ファクタリングそれぞれの特徴や利用するメリット・デメリットを見ていきましょう。
インボイスディスカウントファイナンスの特徴
インボイスディスカウントファイナンスは、輸出者が輸出債権(後払いで回収される債権)を譲渡し資金調達する方法です。
まず金融機関が輸出者のインボイス(船積書類等が該当)を、一部買戻請求権付きまたは買戻請求権無しで買い取ります。
その後、買い取った金融機関は債権の金額から割引した額を、輸出者へ入金、支払期日に輸入者から輸入代金の全額を取得する仕組みとなっています。
インボイスディスカウントファイナンスを利用するメリット
インボイスディスカウントファイナンスを利用すれば、輸入者が支払い不能に陥っても原則として輸出債権は100%保証されます(買戻請求権無しの場合)。
また、輸出債権を買い取る金融機関が輸入者の信用調査もおこないます。
輸入者の信用リスク(債務不履行に陥るリスク)や、輸入相手国のカントリーリスク(経済や政治等が不安定なリスク)の軽減が可能です。
インボイスディスカウントファイナンスを利用するデメリット
インボイスディスカウントファイナンスを利用するには、輸出者と金融機関だけでなく輸入者の同意も必要です。
そのため、輸出債権の譲渡がうまくいかない可能性もあります。
現在のところ、サービス提供事業者が非常に少ない点もデメリットです。
インボイスディスカウントファイナンスが向いている人の特徴
輸出者の中でも輸出債権の貸倒れを避けたい事業者、与信管理の負担を軽減したい事業者に向いています。
小規模な輸出事業者なので輸出債権をしっかり回収できないと経営が傾いてしまう、輸入者の信用調査にまで手が回らない、という不安や負担の軽減に役立つはずです。
輸出債権が回収できなくても、その損失を負うのはサービス提供事業者ですので、輸出者は安心して海外の企業へ新規開拓に乗り出せます。
ABLの特徴
ABLの正式名称は「Asset Based Lending」です。
事業者の商品在庫・売掛金など流動性の高い資産を担保とする融資手法です。
ABLでは売掛金等の債権を、金融機関に担保提供します(その際、基本的に債権譲渡登記をおこなう)。
その後、万一自社の融資返済が滞った場合、金融機関は債権譲渡担保から融資を回収するという仕組みです。
ABLを利用するメリット
自社の資産がまだまだ乏しくても、保有する売掛金・在庫等を担保に融資が受けられ、資金調達し易い点がABLを利用するメリットです。
売掛金等がしっかり管理されていれば、それだけ金融機関は担保価値を高く評価してくれます。
そのため、担保とする資産を少しでも高く評価してもらえるよう、売掛金をしっかりと期日までに回収する等、自社が資産管理を徹底する良い機会ともなるはずです。
ABLを利用するデメリット
ABLで融資を受けるまでに時間がかかる点はデメリットです。
売掛金等の債権の査定に多くの時間を要し、融資までに2〜3週間程度が目安となります。
審査の際は売掛金等の信用度や、取引状況もチェックされます。
そのため、継続的に取引をしている事業者が複数なければ、なかなか審査には通りません。
事業を開始したばかりの中小企業・小規模の事業者には、やや不利な資金調達方法といえます。
ABLが向いている人の特徴
すぐに融資を受けられなくとも良いので、保有する売掛金・在庫等を担保に資金調達したい、という事業者にABLは向いています。
順調な経営状態であるが、担保にできる不動産を所有していなかったため、融資を断られてしまった小規模事業者ならば、ABLで融資を申し込むと審査に通る可能性があります。
ファクタリングの特徴
ファクタリングは、自社が有する売掛金をサービス提供会社に譲渡し、現金化する資金調達手法です。
ファクタリングサービス提供会社は非常に多くなり、専門の提供会社はもちろん金融機関も提供しています。
ファクタリングは大きく分けて2種類の方法があります。
・2社間ファクタリング:自社とサービス提供会社の2社間で契約する買取手法
・3社間ファクタリング:自社・サービス提供会社・売掛先の3社で契約する買取手法
いずれの場合もサービス提供会社が審査するのは売掛先の信用力です。
ファクタリング利用希望者の事業所の規模は問われません。
また、経営状態が赤字決算や債務超過という状態にあっても、利用しやすいサービスとなっています。
ファクタリングを利用するメリット
ファクタリングでは売掛金の回収リスクも、サービス提供会社に売却できる点がメリットです。
ほとんどのサービス提供会社では、償還請求権なし(ノンリコース)で契約が可能ですので、万一、売掛金の回収ができなくなっても、現金を返還する必要はありません。
2社間ファクタリングの場合は、契約を締結するのが自社とサービス提供会社だけですので、手続きに手間がかからず、最短即日で売掛金を現金化できます。
また、3社間ファクタリングの場合はサービス提供会社が売掛先から売掛金を回収します。
そのため、利用者側が売掛金を譲渡し現金化できたら、何も手続きをする必要がないため便利です。
ファクタリングを利用するデメリット
2社間ファクタリングは手数料の高さに注意しましょう。
サービス提供会社によって違いはありますが、手数料は約10%〜20%と高めです。
一方、3社間の場合は約3%〜10%ですので、手数料負担が気になる事業者は3社間ファクタリングを検討しましょう。
ただし、3社間ファクタリングをおこなうには売掛先の同意も必要ですので、資金調達までに時間がかかってしまいます。
3社間ファクタリングの場合、1週間程度が資金調達の目安となります。
なお、売掛先が同意してくれないと、そもそも資金調達すらできなくなるので注意が必要です。
早急に資金調達を必要とする場合は、2社間ファクタリングを選んだ方が良いでしょう。
ファクタリングが向いている人の特徴
即日または短期間で速やかに売掛金を現金化したい事業者は、2社間ファクタリングの利用が向いています。
特にオンラインでファクタリングサービスを提供する会社ならば、わずか30分程度で現金化が可能なケースもあります。
一方、手数料を安く抑えたい事業者は、3社間ファクタリングの利用が向いています。
手数料は2社間の場合の2分の1に抑えられる場合が多いでしょう。
資金調達までに時間がかかってでも良いので、費用負担を安く抑えたいという事業者に適した買取手法です。
まとめ:インボイスファイナンスのなかではファクタリングがおすすめ
現在は多様なインボイスファイナンスが提供されています。それぞれの特徴や注意点を把握し、自社に合った資金調達方法を選びましょう。
現在のところ、インボイスディスカウントファイナンスは提供事業者が非常に限定されています。
また、ABLは継続的な取引をしている事業者が複数ないと審査に通りにくく、スタートアップ企業には不利といえます。
審査に通りやすく、豊富な選択肢から資金調達先を決めたいならば、ファクタリングの利用がおすすめです。
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審査通過率は90%と比較的高く、買取下限額が10万円ですので個人事業主の方でも利用しやすい点が特徴と言えます。
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