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電子手形とでんさいの違いとは?特徴やメリットも解説

企業間での商取引では、代金をあとで支払う掛取引が中心です。掛取引の決済手段として使われるのは、現金(銀行振込)、小切手や手形です。近年はインターネットの発達により、企業間取引においても電子化が進んでおり、銀行振込ではインターネットバンキングによる振込が増えています。

決済手段のひとつである手形(支払手形)は、古くから商取引の決済手段として使われてきました。手形は企業の信用力を示す証書として、また現金に代わる重要な決済手段として広く利用されてきましたが、最近は使用される件数が減ってきています。

紙の手形が減ってきたなかで、手形の手続きを電子化し、従来の手形の代わりになる手段として「電子手形」(電子記録債権)が登場しました。電子手形は、電子化された手形の総称です。

電子記録債権制度は、2007年に成立した「電子記録債権法」のもとで手形による決済の煩わしさを解消する手段として登場しました。そのひとつの「でんさい」は、多くの企業が利用しています。

本記事では、手形について、また、各電子手形にはどのような違いがあるのかについて解説します。

手形とは何か?

手形は、日本では江戸時代から利用され、信用を証明する書類として、あるいは資金繰りの手段として機能してきました。手形の概要、役割について解説します。

手形とは

手形は、記載された金額を決められた日(期日)までに支払うことを示す証書で、金額や日付、支払日などが書かれています。手形は小切手とは違い、銀行に持って行ってもその場では現金化できず、支払日が決まっているのが特徴です。

手形は、支払う日にちを先延ばしできるため、支払う金額をその時点では用意できない場合でも利用できます。売掛金の入金が先になる時でも、入金日以降に手形の期日を設定しておけば、支払えるというしくみです。

代表的な手形の種類は「支払・約束・為替」の3つです。

・支払手形
支払手形は、企業が代金の支払いに使う手形です(受け取る企業にとっては受取手形)。
振出人が手形を振り出し、受取人は期日が到来したら引き換えます。

・約束手形
約束手形は、手形を発行した人(約束人)が、手形に記載された金額を、手形を持つ人に支払うことを約束するものです。振出人は残高がない場合でも発行でき、支払期日を延ばせるため便利ですが、期日に代金を用意できないと不渡りの可能性があります。

・為替手形
為替手形は、振出人が受取人へ発行、第三者の引受人(支払人)が受取人に対し支払いする「3者間取引」で使用される手形です。為替手形は、受取人の裏書によって権利を他人に譲渡できます。

手形のメリット

手形は、商品やサービスの決済(支払い)に使用されます。現金や小切手とは違い、支払期日を指定でき、企業の資金繰りを調整したり、一時的な資金不足をカバーしたりするのに便利です。また、手形は企業の信用力を示し、取引先との信用関係を示す証書としても機能し、新規取引の獲得にも役立ちます。

手形のデメリット

手形取引にはさまざまな課題があり、電子化などによる効率化が求められています。手形取引のさまざまなデメリットを理解し、適切な方法を考える必要があるでしょう。
手形を決済に使用する場合のデメリットは以下の通りです。

・管理が煩雑
手形決済では、振出しや保管などにおいて紙ベースでの管理が必要となり、手間がかかります。また、従来の手形は盗難や偽造のリスクがあるため、管理に気を使う必要があります。もし紛失してしまうと、再発行の手続きも簡単ではありません。

・現金化にも手間がかかる
受取人が手形を受け取って現金化するには金融機関に持ち込む必要があり、そのための時間を確保しなければなりません。

・不渡りのリスク
手形が不渡り(支払いが拒絶される)になると、さまざまな問題が発生します。不渡りは、振出人の口座残高不足や支払停止、手形が偽造あるいは変造、支払期日を過ぎても支払われないなどの理由で起きます。

不渡りになると取引に支障が出るほか、受取人は支払いを受けられず損害を被ります。そのため、企業は不渡りの発生を防ぐことが必要です。

電子手形とは

紙の手形は管理および現金化に手間がかかります。事務作業の電子化が進む中、手形取引は近年減少しています。

このような流れの中、従来の手形に代わり、債権を電子的に管理する「電子記録債権制度」(電子手形)が誕生しました。

電子手形の概要

電子手形は、電子化された手形を総合的に表すことばで、電子記録債権=電子手形と考えておいてよいでしょう。
電子手形(電子記録債権)のしくみでは「電子債権記録機関」が、登記所の役割を果たします。電子債権記録機関には以下の5つがあります。

【三大メガバンクが運営】
・日本電子債権機構株式会社(三菱UFJ銀行)
・SMBC電子債権記録株式会社(三井住友銀行)
・みずほ電子債権記録株式会社(みずほ銀行)

【全国銀行協会が運営】
・全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)

【独立系企業が運営】
・Tranzax電子債権株式会社

電子債権記録機関はそれぞれ運営主体が違い、メガバンク系の会社が扱う電子記録債権も、それぞれ「電手(でんて)」「SMBC電子債権」「電ペイ」と違います。

一方、全国銀行協会が提供する「でんさい」は、メガバンク系の機関とは違い、多くの企業が利用可能です。

独立系のTranzax電子債権は、支払手形や売掛金、受注書・発注書などの将来債権も電子化できるのが特徴です。

電子手形のしくみ

電子手形(電子記録債権)では、従来の手形とは違い、割引や譲渡、期日決済などの取引が簡単になります。電子手形を利用する流れは以下の通りです(以下、電子手形と表記します)。

1.電子手形の振出し
振出人は、電子手形のシステムにアクセスし、金額や振出日、支払期日、受取人といった情報を入力して電子手形を作成します。電子署名によって、電子手形は正式に振り出されます。

2.電子手形の交付
データが振出人の銀行に登録された後、振出人は、受取人にデータを送信します。

3.電子手形の提示
受取人が銀行にデータを提示すると、銀行は振出人の銀行に請求します。

4.電子手形の決済
振出人の銀行口座から受取人の銀行に送金します。

5.電子手形の決済記録
それぞれの銀行は、電子手形の振出・提示・決済の記録を保管します。

電子手形はこれまでの手形と違い、省力化できるのが特徴です。紙の手形との違いは、現物作成や印紙貼付、封入および郵送といった手間を省ける点にあります。
もうひとつの違いは安全である点です。紙を使わず、すべての手続きがオンライン上で行われることで、リスクを減らせます。電子手形は効率化と安全性の向上に大きな役割を果たしているといえるでしょう。

電子手形の利用開始

電子手形は、金融機関と契約を結ばなければ利用できません。契約時には、契約書とともに商業登記簿謄本や印鑑証明書などが必要です。提出書類は金融機関ごとに異なるため、何が必要なのかを事前に確認しておきましょう。

電子手形のメリット

電子手形には、以下のようなメリットがあります。

・管理が簡単になる
電子手形には、取引で動きがあるごとに情報が記録されていきます。そのため、債権の権利が誰にあるかが確認しやすくなります。また、受け取りや保管に伴う手間が減少し、管理が簡単です。

・柔軟な取引
電子手形は分割して一部のみを譲渡することができるため、資金繰りに役立つ手段といえるでしょう。

・自動決済
電子手形の場合、口座から自動的に引き落とされるため、わざわざ銀行へ足を運ぶ必要がありません。また、受取人側も支払期日が来ると、取立不要で口座に振り込まれるため、手間がかかりません。

でんさいの特徴

全国銀行協会が運営する「でんさい」も、電子手形(電子記録債権)の一種です。メガバンクの3社とは異なり全国の多くの企業が利用可能で、電子手形の中心的な存在といってもいいでしょう。

電子手形とでんさいの違い

電子手形は、電子化された手形を指し、でんさいは全銀協が提供する電子手形(電子記録債権)の一種です。取引金融機関を通じて、利用情報が記録されることで有効となります。全国銀行協会が運営主体であるでんさいは、多くの企業が利用できるのが特徴です。

でんさいと手形の違い

でんさいで使われる用語と手形の用語は違います。でんさいでは、振出を発生記録請求、裏書を譲渡記録請求、取立を口座間送金決済と呼びます。

切り替えは取引がある金融機関に申し込みます。手形との違いは、取引先も契約していなければならない点です。そのため、取引先が未契約の場合は導入時に案内する必要があります。

用語の違いは、以下の通りです。
・手形番号→記録番号
・手形金額→債権金額
・振出日→発生日(発生記録の電子記録年月日)
・振出人→債務者
・受取人→債権者
・裏書日→譲渡記録日
・裏書人→譲渡人(保証人)
・被裏書人→譲受人

でんさいを使うメリット

手形に必要な手形用紙代や印紙税、郵送料、さらには人件費まで含めると、大きくコストダウンできる可能性があります。また、手形よりも確認作業が簡単で、事務負担を軽減できるでしょう。
電子上のやり取りであるため、現物を郵送するのに比べて到着の遅れや紛失を心配する必要もありません。

そのほか、でんさいは分割して必要な額のみ譲渡可能です。また、予約請求が可能で、ひと月先までの日付を指定できるほか、発生・譲渡・分割記録請求を一括で行えるという違いもあります。

でんさいのデメリット

会計処理を変更しなくてはならず、動きがあるたびに金融機関へ支払う手数料が発生するため、企業にとっては負担となります。また、審査は厳しめであり自社、取引先双方の信用力が必要です。ほかには、債権の一部のみ分割した場合管理コストを増やすことになりかねないこと、万が一、不渡りになった場合は買い戻さなければならないといった面もあります。

電子手形とでんさいの違いとは?特徴やメリットも解説 まとめ

手形は、支払いを先に延ばせる決済手段として、また企業の信用力を証明するものとして、企業間の商取引で古くから利用されてきました。しかし、従来の紙の手形は手続きが煩雑であることから、近年は取り扱い数が減少しています。

手形の課題を解決する手段として、電子手形(電子記録債権)が誕生しました。電子手形は、従来の手形管理の煩雑さを解消したシステムであり、オンライン上ですべての取引が完結します。電子手形は盗難や紛失の心配がなく、管理に手間がかからないため、手形が廃止される予定の2026年までにさらに広がっていくでしょう。
全国の金融機関が加盟するでんさいネットを通じて行うのがでんさいです。ほかにはメガバンクが提供する電子手形もあります。ただし、これらは利用する企業は限られています。

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