ファクタリングで売掛債権を現金化!資金繰りの改善効果を解説
ファクタリングは融資などと並び、運転資金を調達する手段の一つです。売掛金のスピーディーな現金化を実現するファクタリングは、原則、売掛債権を持つ企業や個人事業主であれば利用できます。売掛金は現金化までに時間がかかるため、その間に発生する支払いに対応できるよう、多くの経営者は資金繰りを調整しなくてはなりません。
ファクタリングによって売掛金の現金化を早めることで、資金繰りが改善され、経営の安定が図れるだけでなく、急な支払いにも対応できます。
ファクタリングを活用して事業経営を安定させるには、正しい知識を身につけることが不可欠です。この記事では、ファクタリングによる売掛金の現金化について知りたい方に向け、ファクタリングの基本、早期の現金化の利点、会社の選び方、利用例などについて解説します。
目次
ファクタリングの基本知識と現金化のしくみ
急に大きな支出がある、先払いが必要な案件があるなどの事情により、資金不足になることは企業経営において珍しいことではありません。ファクタリングは、一時的に不足する資金をカバーできる手段として、多くの企業が利用しています。
ファクタリングとは?
ファクタリングは、売掛債権(売掛金。代金を請求できる権利)をファクタリング会社へ売却(譲渡)し、現金化する方法です。資金繰りが厳しい企業にとって、売掛金の回収を待つ必要がなくなり、迅速に資金を確保できます。
現金化を早めることで、従業員の給与や仕入代金への支払いが滞るといったリスクを避けられるため、経営の安定化に役立つでしょう。
ファクタリングの歴史と背景
ファクタリングは古くから存在する資金調達手段で、その歴史は古代ローマ時代にまで遡るといわれています。現在では、ファクタリングは企業の資金繰りをサポートする手段として、また融資が難しい場合や、資金調達を急ぐ場合に役立つ手段として利用されています。
ファクタリングのしくみ
ファクタリングにおける現金化のしくみは、以下の通りです。
1.契約
利用者はファクタリング会社と契約します。契約書には売掛金の譲渡に関する条件や、手数料が明記されています。
2.売掛金(売掛債権)の提出
売掛金の明細(請求書など)を提出します。信用力が高い取引先の売掛債権を利用すると、審査において有利です。
3.審査
売掛金の審査では取引先の経営状況や、売掛金を回収できるか(支払能力)が評価されます。
4.現金化
問題なく審査を通過できれば、ファクタリング会社は債権を買い取ります。代金は手数料分差し引かれるため、売掛金額の80~90%程度です。
5.売掛金の回収
売掛金は、2社間方式では取引先から売掛金が振り込まれたタイミングで利用者から、3社間方式では取引先から回収します。
ファクタリング会社の役割
ファクタリング会社は、申し込みの窓口として必要な業務を担当します。審査では売掛金の信頼性を評価し、取引先の信用状況を調査します。また、売掛金を買い取ることで代金を前払いし、企業の資金繰りをサポートするほか、取引先から支払われる売掛金の回収を代行するのもファクタリング会社の役割です。
売掛金の早期現金化がもたらす効果
現金化を早めることで、企業には多くのメリットがあります。具体的には、どのようなメリットがあるのかを見てみましょう。
早期現金化のメリット 1.資金繰りの改善
ファクタリングの大きなメリットは、売掛金の現金化を早められることです。現金化が早まることで必要な支払いに資金を充てられ、資金繰りが大幅に改善されます。
通常、売掛金を現金化するまでに数か月を要するケースは少なくありません。また、融資を受ける場合も、通常2週間~数か月の時間を要するため、すぐには資金調達できません。しかし、ファクタリングでは、最短でその日の現金化が可能となります。その日のうちに現金化できれば、急ぎの出費にも対応できるでしょう。
たとえば、新しい取引先からの大口注文があるような場合にも、すぐに原材料を購入するための資金を確保できることから、チャンスを逃さずに済みます。そのほか、資金繰りが改善されることで企業の経営が安定し、新規事業や投資による成長が促進される可能性もあります。また、貸し倒れのリスクが軽減されるため、企業は安心して新たな事業を展開できるでしょう。
早期現金化のメリット 2.資金繰りの柔軟な調整が可能になる
ファクタリングによって、資金繰りを柔軟に調節できます。必要なときに必要な金額を現金化できるため、資金繰りをコントロールしやすくなるでしょう。
ファクタリングは、利用したいタイミングでいつでも利用できる点が大きなメリットです。通常、売掛金の回収においては入金まで短くて1か月、遅ければ数か月待たなければなりません。しかし、ファクタリングで現金化を早めれば、資金計画を立てやすくなるでしょう。
ファクタリングで現金化できる金額
売掛金をどれくらい現金化できるかは、以下のような条件によって変わります。
現金化できる割合
ファクタリングでは、額面から手数料を引いた額が現金化されます。一般的に、現金化できる割合は売掛金の70%~90%程度です。
手数料率は契約内容および会社ごとの設定によって異なります。2者間の場合は手数料が高くなる傾向があり、10%~30%程度が相場です。3者間は2社間より手数料率は低めで、2%~9%程度です。たとえば売掛金100万円を現金化する場合、手数料率が20%であれば、80万円が現金化されます。
利用限度額
ファクタリング会社は、それぞれが利用限度額を設定しています。たとえば、5,000万円が上限となっている会社もあれば、無制限あるいは数億円まで調達可能な会社もあります。利用者は、必要とする金額に合わせて売掛債権を準備し、希望額を調達できる会社を選ぶことが必要です。
親会社が銀行系のファクタリング会社は、一般的に高額の資金調達にも対応可能です。逆に少額の利用には対応していないことが多いため、事前に確認しておきましょう。
また、起業して間もない企業への対応もファクタリング会社によって違います。自社が必要とする額や状況に応じて、対応する会社を選ばなくてはなりません。
売掛金の早期現金化により、資金繰り改善につながった事例
売掛金の現金化で、資金繰りと経営の改善に成功した事例をご紹介します。
早期現金化の成功事例 1.資金調達の成功事例
食品メーカーA社では新商品の発売に伴い、大量の原材料を一度に仕入れる必要がありましたが、売掛金の回収が遅れており、資金繰りが厳しい状況でした。
そこでA社はファクタリングで原材料の購入資金を確保した結果、新商品の発売に間に合わせることができ、売上を大幅に伸ばせました。
早期現金化の成功事例 2.緊急の資金調達
建設業のB社は、急な設備の故障により、修理に大きな費用が必要になりました。しかし資金は足りず、急いで費用を工面しなければなりません。そこでB社はファクタリングで売掛金を現金化しました。修理費用を確保できたB社は、工期の遅延を防げることになったのです。
早期現金化の成功事例 3.経営改善
小売業のC社の売上は季節変動の影響を受けやすく、売掛金の回収が遅れることがありました。そこで、C社はファクタリングで現金化を早めたところ資金繰りが安定化し、リスクを軽減できただけではなく、余裕資金を活用して新たな事業展開を行い、経営の多角化に成功しました。
ファクタリングによる現金化の注意点
ファクタリングで売掛金の現金化を早めることは、企業にとって多くのメリットをもたらします。しかし、利用には注意すべき点もあります。利用前に知っておくべき注意点について解説します。
手数料の負担が大きい
ファクタリングはスピーディーな現金化が魅力です。しかし、融資などに比べて手数料が高いため、ひんぱんに利用すると収益を圧迫し、業績や経営状態の悪化につながる恐れがあります。手数料以外にも、追加費用として契約書作成費用や信用調査費用、債権譲渡登記の費用などが発生することも少なくありません。資金繰りの安定化や、売掛金の未回収リスクの軽減が目的であれば、他の資金調達方法も検討することが必要です。
悪徳業者を見分ける必要がある
ファクタリングは、現在取り締まる法律がありません。そのため、悪徳業者が紛れ込んでいる可能性があります。ファクタリングを装い、実際には法外な手数料を取って貸し付けするような業者がいるため、利用者は本契約前に契約内容を確認し、不利な条件がないか、丁寧にチェックすることが大切です。
契約方式の選択が難しい
ファクタリングの契約方式には、2者間と3者間があります。2者間は取引先が関わらない分、手続きが簡単ですが、手数料は高くなるケースがほとんどです。取引先に知られたくない場合は、手数料は高めであっても2社間を選ぶことになります。一方、3者間は手数料が低めですが、取引先への通知および承諾が必要です。状況に応じて、適切な方式を選ぶことが求められます。
最適なファクタリング会社を選ぶポイント
信頼できて、なおかつ最適な会社を選ぶには、さまざまな面から総合的に評価し、複数の会社を比較、検討することが必要です。たとえば、担当者の対応や説明の丁寧さも重要な判断基準となります。
手数料とコストの比較
手数料の設定は会社により違いがあります。複数の会社から見積もりを取り、比較しましょう。また、手数料以外にかかる費用について確認しておくことも大切です。
スピードと柔軟性
資金調達を急いでいる場合、その日のうちに現金化できる会社がおすすめです。その代わりに手数料が高くなることが多いため、スピードと手数料のどちらを重視するのかをはっきりさせておく必要があります。
会社の信頼性と実績
設立から5年以上経過した会社で、実績が豊富なファクタリング会社であれば、信頼できると考えてよいでしょう。また、書き込まれている内容をすべて信用してしまうのは危険ですが、口コミや評判がわかるサイトでチェックしておくことも大切です。
また、契約内容や手数料が明確な会社を選びましょう。契約前に詳細な説明で全ての条件を明示し、質問に対してはっきりとした回答をくれる会社は信頼性が高いといえます。
サポート体制の充実度
契約後のサポート体制も確認しておくべきポイントです。問題が発生した際に、迅速に対応してくれるか、相談に乗ってくれるかなど、サポートの質も選定基準に含めましょう。
ファクタリングで売掛債権を現金化!資金繰りの改善効果を解説 まとめ
ファクタリングで売掛金を期日前に現金化することで、資金繰りの改善が期待できます。たとえば、機械が故障した場合の修理費といった突然の大きな出費や、季節による売上の変動への対応など、さまざまな利用方法が考えられます。
また、大口の案件で材料費や人件費を先払いしなければならないような場合にも、売掛金を早期に現金化できれば、チャンスを逃さず受注できる可能性が高まるでしょう。
売掛金の現金化を経営に生かすためには、信頼できるファクタリング会社をパートナーにすること、手数料をはじめとしたコストや契約内容、依存し過ぎないように注意することが必要です。