ファクタリング今後と現状は?日本の市場規模や業界の動向なども解説
ファクタリングは資金調達方法として近年注目されています。今後もファクタリングはよく使われる資金調達方法として経営者や事業主から注目されるのでしょうか。今後のファクタリング業界の動向や市場はどうなるのでしょう。
この記事では、ファクタリング業界の動向や市場についての「今後」を解説します。ファクタリングの利用をためらっている経営者や利用を迷っている事業主にぜひ知っていただきたい情報です。
また、すでにファクタリングを利用しており、資金調達方法として融資との併用や今後のさらなる有効活用について考えている経営者・事業主にも知っていただきたい情報です。
目次
今後の前に!ファクタリングとは?
ファクタリングの今後について説明する前に、まずは「ファクタリングとはどのような資金調達方法か?」を簡単におさらいします。
ファクタリングとは債権を使った資金調達方法です。
ファクタリングでは個人事業主や会社などが持っている売掛金などの債権をファクタリング会社に譲渡・売却します。つまり、債権の売買です。売掛金などの手持ちの債権を譲渡・売却により資金化することで必要な資金を得る方法がファクタリングになります。
債権を譲渡・売却するファクタリングには2つの種類があります。
・2社間ファクタリング
・3社間ファクタリング
ファクタリングの種類:2社間ファクタリング
ファクタリングの一種である「2社間ファクタリング」とは、個人事業主や会社、経営者などの申込者とファクタリング会社の2社(2者)によるファクタリングのことです。
2社間ファクタリングには次のような特徴があります。
・手続きが2社により行われるため最短即日など迅速に資金調達できる
・手続きが2社で完結するため取引先に債権の売買を知られずに済む
・2社間ファクタリングは手数料が高めに設定されている(相場:10%~30% )
2社間ファクタリングは特にスピードに優れた資金調達方法です。ただし、手数料は3社間ファクタリングより高めの相場になっているため、注意してください。
ファクタリングの種類:3社間ファクタリング
3社間ファクタリングとは、個人事業主や会社などサービスの申込者とその取引先、ファクタリング会社の3社で行う手続き方法になります。
3社間ファクタリングには次のような特徴があります。
・取引先も手続きに関与するため、資金調達までに時間がかかる
・取引先も手続きに参加するため債権の売買を知られてしまう
・2社間ファクタリングと比較して手数料が低めに設定されている(相場:1%~9% )
3社間ファクタリングの手数料が低めになっているのは、取引先も関与するため債権トラブルなどのリスクが低いからです。3社間ファクタリングはファクタリング時のコストを抑えたいときにおすすめの方法になります。
ただし、3社間ファクタリングは2社間ファクタリングと比較して手続きに時間がかかるため、即日対応は基本的にできません。資金調達までに早くても数日から1週間ほどはかかってしまいます 。
ファクタリング業界の現在の市場規模
日本では、アメリカなどの諸外国と比較して、ファクタリングの市場規模は小さくなっています 。ただ、これはファクタリングが使われていないということではなく、市場規模が拡大している途中だからだと言えるでしょう。
日本のファクタリングの現状を知ることで市場規模・業界の動向について理解できます。
ファクタリング業界の動向
ファクタリ ングの今後を知るためには、まずは現状について抑えておく必要があります。ファクタリングの今後を知るために重要な「現状」について説明します。
ファクタリングは融資が使えないときの資金調達方法として使われる
ファクタリングは現状、融資と比較して知名度の低い資金調達方法になっています。ただ、近年、ファクタリングの知名度も少しずつ上がっており、融資との併用や融資からファクタリングへの資金調達方法の切り替えなどを行う会社なども存在しています。融資が使えないために、ファクタリングを中心に使う会社も少なくありません。
ファクタリングは融資との併用が可能です。融資はお金の借り入れですが、ファクタリングは債権の譲渡・売却です。融資とファクタリングは性質の異なる資金調達方法なので、資金調達が必要な場面において併用されることは珍しくありません。資金調達が必要な場面で融資とファクタリングの両方を活かすことは、今後も変わらないと予想されます。
ファクタリングは融資が使えない状況でもよく使われています。
経営状況が悪い場合や赤字の場合、債務超過、税金滞納などがあると、金融機関は基本的に「お金を貸しても返済できない」と判断するため、融資の申し込みをしても審査で落ちてしまうことがほとんどです。
ファクタリングは債権の譲渡・売却なので、申込者の赤字や債務超過、経営難、債務超過などはあまり問題になりません。そのため、融資が使えない局面でもファクタリングなら使えるのです。今後も融資が使えない局面では、ファクタリングの利用が資金調達の打開策になることでしょう。
ファクタリングは手形の代替手段としてよく使われている
手形は日本の会社でよく使われている決済方法です。しかし近年、手形は衰退の傾向にあります。代わりに注目されているのが売掛金などの債権の取引です。
手形が衰退してきている理由がコストやリスクです。手形による取引にはコストがかかる他、手形割引の際に不渡りが出ると申込者(資金調達をする事業者)が利息を付して支払わなければならないといったリスクがあります 。
手形のコストやリスクを考えた結果「今後も手形を使うべきだろうか?」「今後は売掛金などの取引に切り替えるべきではないか?」と悩む事業者は決して少なくないと言えるでしょう。
売掛金などの債権取引が注目されて盛んになると、債権の資金化方法であるファクタリングにも注目が集まるのが自然な流れです。
ファクタリングは資金調達方法やリスク対策として使われている
ファクタリングの中には即日資金化に対応している会社もあります。現在でも急いで資金調達したいときにファクタリングが使われることは珍しくありません。
ファクタリングは融資のように「返済できるか」を重視するのではなく、債権内容や取引先の信用度などを重視して審査を行います。融資が使えない場合でもファクタリングなら使えるのです。そのため、融資の利用が難しい場合や融資で審査落ちする可能性が高い場合などにファクタリングはよく使われています。
ファクタリングはリスク対策にも使われているのが現状です。ファクタリングで債権を売ってしまえば債権の回収不能を不安に思う必要はありません。ファクタリングの一種である保証型なども、債権の回収が難しくなったときに保証金が支払われるためリスク対策の一種としてよく使われています。
ファクタリングは現状、資金調達やリスク対策としてよく使われますが、今後も資金調達・リスク対策のために利用され続けることでしょう。
日本におけるファクタリングはまだ知名度が低いサービス
日本においてファクタリングはまだ知名度の低い資金調達方法です。
ファクタリングが日本で使われるようになったのは1970年代のことでした。手形を使った取引は江戸時代や明治時代に遡ると言われています 。手形などと比較すると、ファクタリングは比較的新しいサービスだと言えるでしょう。
現状はまだ知名度の低さがネックになっているファクタリングですが、資金調達の必要性や融資・手形割引などに代わり資金調達方法として、今後少しずつ知名度が上がると期待されています。
ファクタリングには悪質業者やヤミ金なども混在している
ファクタリ ングは手形の衰退などの理由から利用者が増加傾向にあります。利用者が増えるにしたがって、ファクタリングをサービスとして提供する会社も増えてきました。
ファクタリング会社が増えると会社間の競争が激しくなるため、サービスの質も向上します。ただ、ファクタリング会社が増えることは良いことだけではありません。なぜなら、現在のファクタリング会社は玉石混合状態になっているからです。
ファクタリング会社が増えた結果、悪徳業者やヤミ金なども「ファクタリング」という看板を掲げて違法な融資などを行うようになりました。
ファクタリングの利用者が増加する中でファクタリング会社も増えました。ただ、ファクタリング会社の中には自社の利益ばかり追求する悪徳業者や違法なヤミ金などが混在しているため、業者選びに注意しなければならないのが現状です。
ファクタリング業界は今度どうなる?注目すべき動向
ファクタリング サービスと業界は今後どうなるのでしょうか。
ファクタリングの今後について5つのポイントで解説します。
手形取引には問題点があるためファクタリングの今後に期待されている
日本で事業者がよく使っていた手形による決済や資金調達(手形割引)にはコストがかかり、リスクもあります。手形取引・手形割引のコストやリスクといった問題点から、売掛金などの取引・ファクタリングの今後に期待されています。
手形の取引が衰退傾向にあることから、売掛金などの取引・ファクタリングの市場規模は今後さらに拡大するだろうとの予想です。
ファクタリングによる債権を使った資金調達が注目されている
日本の会社は手形を多用した取引をよく行っていました。手形取引でも手形を資金化する手形割引というサービスがあります。ただ、手形割引のリスクが問題になっていました。
会社などが手形割引を利用して資金調達した後に手形が不渡りになってしまうと、資金化サービスを利用した会社が責任を負わなければならないのです。そうすると、会社側は資金調達の際にリスクが気になってサービスを利用しにくくなってしまいます。
ファクタリングは基本的に売掛金などを回収できないときのリスクはファクタリング会社側が負う契約(ノンリコース契約 )方式になっています。
資金化サービスを利用する側がリスクを負わなくても大丈夫なので、債権を使ったファクタリングでの資金化が注目されている状況です。債権を使ったファクタリングによる資金調達は、今後さらに注目を集めると予想されています。
経済産業省も債権を活用した今後の資金調達を推奨している
ファクタリングなど債権 を使った資金調達方法は経済産業省も推奨しています。
中小企業庁・経済産業省自体が「債権の利用促進」「債権を使って資金調達」などを推し進めている状況です。ファクタリングは資金調達方法や債権の有効活用方法として今後さらに市場拡大し注目を集めると予想されています。
今後のファクタリングはさらに利便性が高くなると予想されている
サービスが注目し市場拡大すると、その業界に参入する会社も増えてきます。会社が増えるとどこの会社も「うちの会社を使って欲しい」「他社にサービスで負けるわけにはいかない」と考え、さらに自社サービスに磨きをかけることになります。
今後のファクタリングは市場拡大によりさらに会社が増え、会社間の競争により、さらに利便性やサービスの良さが向上すると予想されている状況です。債権での取引が活発化すれば、今後さらに利便性に重点を置いたサービスが登場することでしょう。
法律の整備により今後のファクタリングはさらに使いやすくなる
これまでのファクタリングで は譲渡禁止特約がついた債権の資金化が問題になっていました。債権を資金化したくても譲渡禁止特約がついていると、思うように資金化できないという問題があったのです。
しかし、2020年に法律の整備により債権譲渡特約のついた債権もファクタリングで問題なく資金化できるようになりました。債権を使った資金調達が以前より行いやすくなったのです。
債権を使った取引や資金調達が活発化すると、法律なども今後の時代や情勢に合わせて整備されると考えられます。法律やルールも今後さらに整備されると予想されます。
ファクタリング業界の今後は市場拡大の予想
ファクタリング業界は今 後さらに市場拡大・利用しやすくなると予想されています。手形取引などが衰退の兆しを見せていることだけが理由だけでなく、政府が債権の有効活用や債権を使った資金調達を後押ししている状況であることや、法整備なども今後の市場拡大を後押ししていると言えるでしょう。
ファクタリング今後と現状は?日本の市場規模や業界の動向などのまとめ
ファクタリングは今後さらに使いやすく、サービスに磨きがかかると予想されています。政府も債権を有効活用すること、債権を使った資金調達方法の活用を推奨しています。ファクタリングを今後の資金調達方法の柱のひとつとして取り入れてみてはいかがでしょう。
ファクタリングサービスを提供している会社は多数ありますので、ぜひニーズや目的に合った会社やサービスを探してみてください。