輸入・輸出に使えるファクタリングとは?フォーフェイティングとの違いも解説
ファクタリングが使えるのは日本国内の取引に対してだけではありません。ファクタリングは海外との輸入・輸出にも利用可能です。ファクタリングは海外との取引の代金回収やリスク対策にもよく使われています。
この記事では海外との輸入・輸出に使えるファクタリングについてご紹介します。手続きの流れやメリットの他にフォーフェイティングとの違いなどについても説明します。
貿易のリスク対策や海外企業からの代金回収に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
目次
輸入・輸出代金の回収代行の前に!ファクタリングとは
ファクタリングとは売掛金などの債権を譲渡・売却する資金調達方法です。
ファクタリングは日本国内の個人事業主や会社などの資金調達によく使われています。
現金化できる債権は国内の取引により生じたものという印象が強いかもしれません。ファクタリングにはさまざまな種類があり、中には輸入・輸出に使えるタイプのファクタリングもあります。
海外との取引に使えるタイプのファクタリングを「国際ファクタリング」と言います。
輸入・輸出に使える国際ファクタリングの流れ
日本国内のファクタリングには2つのタイプがあります。ひとつは2社間契約というタイプで、申込者と債権の買取会社の2社で行う方法です。もうひとつは申込者と取引先、買取会社の3社で行う方法になります。
国際ファクタリングはこれらの日本国内の債権の現金化と比較すると、仕組みがやや複雑になっています。国際ファクタリングの仕組み・流れは次の通りです。
1.まずは国際ファクタリングを申し込む
2.申し込みを受けた日本国内のサービス提供会社が海外の提携会社に審査を依頼する
3.海外の提携会社が日本国内のサービス提供会社に審査結果を伝える
4.日本国内のサービス提供会社が申込者に審査結果を伝える
5.申込者が予定通り海外の取引先に向けて商品を出荷する
6.申込者が輸入・輸出に関する必要書類を提出する
7.日本国内のサービス提供会社が海外の提携先に書類や輸入・輸出の内容を伝える
8.海外の提携会社が海外の取引先から支払いの代金回収を行う
9.海外の提携会社が回収した代金が日本国内のサービス提供会社経由で申込者に渡される
仕組み・流れには4社が登場しています。申込者と海外の取引先、ファクタリング会社、海外のファクタリング会社の4社です。
輸入・輸出に使えるこのサービスは4社でやり取りしながら行うところが特徴になっています。
国際ファクタリングの利用目的
海外との取引で使える国際ファクタリングは、外国の企業と輸入・輸出する際の「リスク対策」や「スムーズな支払いの回収」のためによく使われています。
海外の国々は日本と取引や支払いへの考え方が異なるばかりに、支払いでトラブルになることも珍しくありません。加えて、海外との取引だからこそ、世界の情勢などが影響するというリスクがあります。こうした海外とのさまざまな取引リスクへの対策として国際ファクタリングがよく使われています。
海外の企業からスムーズに支払いを回収したいときによく使われるのも国際ファクタリングです。
輸入・輸出に使えるファクタリングと信用状の違い
海外との取引にはよく信用状(Letter of Credit、L/C)が使われます。
信用状とは海外との輸入・輸出において銀行などの金融機関が「輸入・輸出の際に海外の取引先の支払いを受けられないときに支払いを約束する書類」のことです。
信用状とファクタリングは共に貿易のリスク対策として使われますが、2つのサービスには違いがあります。
・手数料は信用状の方が安い
・信用状は書類不備などによる支払い拒否が考えられる
・信用状の審査はファクタリングと比較して厳しい
手数料は信用状の方が低めに設定されていますが、信用状は審査が厳しめであり、書類不備などによる支払い拒否のリスクがあります。
ファクタリングの方がやや手数料は高くなっていますが、信用状と比較して審査は易しめです。また、書類不備での支払い拒否リスクは基本的にありません。
輸入・輸出に使えるファクタリングとフォーフェイティングの違い
フォーフェイティングとは「ノンリコースタイプの信用状付き輸出手形の買取サービス」になります。フォーフェイティングも輸入・輸出のリスク対策に使われます。
国際ファクタリングとフォーフェイティングの最大の違いは信用状の有無です。フォーフェイティングは信用状があることを前提にした買取サービスになります。国際ファクタリングでは、信用状は不要です。
輸入・輸出に使えるファクタリングのメリットとは
輸入・輸出に使える国際ファクタリングには5つのメリットがあります。
信用状が不要になるなど、5つのメリットについて順番に説明します。
輸入・輸出のリスクヘッジができる
海外との取引では常に「払ってもらえないかもしれない」というリスクが付きまといます。国際ファクタリングは輸入・輸出のリスクヘッジに使えます。
海外との取引を対象にしているファクタリングは支払いの延滞などがあると、基本的に90日の経過で保証を受けることが可能です。
輸入・輸出の代金をより確実に回収できる
ある程度しっかり支払ってくれる海外の取引先でも、世界情勢からどうなるか分かりません。不測の事態により支払いが遅れてしまうリスクもあります。
国際ファクタリングはリスク対策になるのはもちろん、代金回収の確実性をより高めてくれます。
海外との取引時に信用状が不要になる
国際ファクタリングで代金回収・保証を受ける際は信用状が不要になっています。
信用状の発行には手間と時間がかかります。また、荷物の受け渡しなど、取引に時間がかかってしまう原因にもなってしまうのです。ファクタリングを使うことで、こうした信用状のデメリットを気にする必要がなくなります。
与信管理と回収代行を任せられる
国際ファクタリングを使えばサービスの提供側が与信管理してくれます。サービスの提供会社側も損な取引はしたくないからです。
また、サービスを利用することでサービスの提供会社側が支払いを回収代行します。申込者は自社で与信管理や支払いの回収をする必要がなくなる点がメリットです。
海外との取引を拡大できる
輸入・輸出に使えるファクタリングでリスクヘッジできれば、海外との取引にも積極的になれます。「支払いのことが不安」「大損害を受けたら大変だ」と取引に尻込みする必要もなくなります。
輸入・輸出に使える国際ファクタリングの注意点
輸入・輸出に使える国際ファクタリングには注意したいポイントが4つあります。
注意点について順番に説明します。
取り扱いのあるサービス提供会社が限られる
輸入・輸出に使えるファクタリングは扱っている会社が少ないという注意点があります。通常のファクタリングは基本的に国内の取引(売掛金など)の資金化です。海外との貿易には基本的に対応しています。ファクタリング会社・サービスであればすべて対応しているというわけではないため注意が必要です。
日本国内の売掛金に対応しているファクタリング会社・サービスは多数ありますが、貿易に対応しているファクタリング・サービスは限られてしまいます。
国際ファクタリングは信用状より手数料が高い
海外との取引に使うファクタリングは信用状より手数料が高めに設定されています。サービスの提供会社により手数料の設定は異なりますが、利用の際は基本的に信用状よりコストが高めになると考えた方が良いでしょう。
フォーフェイティングなどとの違いを理解して使う
輸入・輸出のリスクヘッジにはフォーフェイティングなども使われます。信用状やフォーフェイティングの内容や特徴、メリット、デメリットと比較してサービスを使い分けることが重要です。
輸入・輸出の相手が承諾しないと使えない
貿易の債権の回収代行・保証のサービスは取引相手が承諾しないと使えません。利用に際しては取引相手に承諾を得ておく必要があります。
輸入・輸出に使えるファクタリングとは?フォーフェイティングとの違いのまとめ
ファクタリングの中には海外の企業との輸入・輸出に使えるサービスもあります。海外との輸入・輸出に使えるサービスが国際ファクタリングです。
海外との取引の回収代行・保証に関しては、よく信用状やフォーフェイティングと混同されることがあります。これらは別の特徴を持ったサービスです。
貿易の回収代行・保証のサービスによりリスク対策が可能になります。海外の企業と取引している会社は信用状やフォーフェイティングとの違いを踏まえた上で有効活用してはいかがでしょう。