株式会社ソレイユ
ファクタリングで納税資金を調達し、滞納処分を回避するには？
税金の滞納に悩まされている事業者は少なくありません。「どうすれば納税資金を確保できるのか」「滞納処分を避けるにはどうしたらいいのか」といった不安が頭をよぎる経営者もいるでしょう。
しかし、税金の滞納は単純に資金を調達するだけでは解決できない可能性があります。滞納が長期化すれば、差し押さえなどの滞納処分のリスクも高まります。
そこでこの記事では、ファクタリングを活用した税金滞納の解消方法と、効果的な利用方法について解説していきます。
目次
企業の納税義務と滞納処分
企業（法人）には納税義務があり、期限内に申告・納付を行う必要があります。事業活動によって得た利益に対して法人税が課税されます。
赤字決算の場合、原則として法人税は課税されませんが、会計上の利益と税法上の利益は異なる場合があり、会計上赤字でも税法上黒字なら課税される可能性があります。また、消費税についても納税義務がありますが、事業開始から2年間は原則として消費税の納税義務はありません。ただし、資本金または出資金が1000万円以上の法人は、設立2年以内でも納税義務が発生します。
さらに法人住民税は均等割の場合、赤字でも納税義務が発生します。たとえば、東京23区の場合、資本金1000万円以下かつ従業員50人以下の企業は、年間7万円の法人住民税を負担しなければなりません。
滞納処分とは
滞納処分とは、税金を滞納している人（滞納者）の意思に関わらず、強制的に滞納された税金を徴収するための一連の手続きで、一般的には以下のような流れで行われます。
1.督促状の送付
納付期限から約1ヶ月後に、税務署から督促状が送付されます。
2.電話や訪問による督促
督促状送付後も納付がない場合、税務署から電話や訪問による納付の督促が行われます。
3.財産調査
納付がない場合、税務署や地方自治体が滞納者や関係者の財産調査を実施します。
4.差し押さえ
督促状発送から10日経過しても完納しない場合、法的には財産の差し押さえが可能になります。
法律では、督促状を発した日から10日を経過しても完納しない場合、財産を差し押さえなければならないと定めています。ただし、実際には督促と差押えの間に催告が入ることが多いでしょう。
滞納処分の影響と対策
法人が滞納処分を受けると、納付期限翌日から完納日まで、日数に応じて延滞税が加算されます。さらに資産が差し押さえられると、運転資金不足で事業運営が困難になる可能性があり、最悪の場合、倒産するかもしれません。
滞納処分を受けないようにするには、納税が予定通りに行えそうにないと分かった時点で、早めに税務署へ相談しましょう。相談すると、納税の猶予や換価の猶予を受けられる可能性があります。納税の猶予制度を利用すると、原則1年間の納付猶予と延滞税の軽減または免除を受けられるかもしれません。
滞納処分を受けると深刻なダメージを招くため、できる限り期限内の納付を心がけ、困難な場合は早期に税務署への相談を検討することが大切です。
滞納処分の対象となる財産
滞納処分の対象となる財産は、換価性があれば基本的にはどのようなものも差押の対象になります。具体的には以下のような財産が対象です。
1.現金預金
2.売掛債権
3.不動産
4.動産（家具類、電化製品、宝石、骨董品、絵画など）
5.生命保険（解約返戻金の請求権）
6.証券
7.家賃収入
8.給与
9.年金
10.自動車車両
11.電話加入権
12.知的財産権
ただし、生活に必要な衣服や家具、食料、事業で使う機械や器具などについては差押えが禁止されています。滞納処分では、換価が容易で事業活動や生活への影響が少ない財産が優先的に差し押さえられる傾向にあるといえるでしょう。
滞納処分のリスクと対処法
税金の滞納は、企業経営において最も深刻なリスクの一つです。単なる資金不足ではなく、企業の存続を脅かす可能性を秘めた危機的な状況と言えるでしょう。ここでは、滞納処分がもたらす具体的なリスクと、回避するための戦略について解説します。
滞納処分による差し押さえのリスク
税務署による滞納処分は、企業にとって最も厳しい法的措置です。単なる金銭的な損失にとどまらず、企業の信用と存続に致命的な影響を与える可能性があります。
特に注意が必要なのは、これらの財産が差し押さえられることで、企業の日常的な事業運営が難しくなる点です。明日の事業継続すら危うくなるという、危機的な状況に直面する可能性があるでしょう。
差し押さえは企業の信用力を失う原因となり、取引先との信頼関係に影響を及ぼすほか、新規受注の困難化や金融機関からの融資拒否など、連鎖的な悪影響を引き起こす可能性が高いでしょう。
滞納処分を回避するための対策
税務署は、必ずしも即座に厳格な処分を行うわけではありません。適切に交渉し、誠実に対応すれば分割納付や納付猶予に応じてくれることが期待できます。交渉の際、いつまでにいくら支払うという、現実的な分割納付案を提案することが大切です。
ファクタリングで税金滞納を解消する方法
企業（法人）が税金を滞納するのは、資金が不足しているためです。税金滞納を解消するためには、キャッシュフローを改善して手元の現金を確保する必要があります。
ファクタリングが滞納処分の解消に有効な理由は、迅速性と柔軟性です。ファクタリングは融資と異なり、企業の財務状況や信用力よりも、売掛金の質に重点を置いて審査が行われます。そのため、赤字企業や税金滞納中の企業でも利用できる可能性が高く、納税資金の調達に適しています。
ファクタリングには、以下のようなメリットがあります。
・迅速な資金調達
・信用情報への影響が少ない
・担保が不要
・柔軟な利用が可能
ファクタリングの審査期間は融資と比較して短く、最短数時間から数日で資金を調達できます。また、借入ではなく債権譲渡であるため、信用情報に傷がつきにくく、売掛金自体が担保となるため、不動産などを所有しない企業でも利用可能です。こうした特徴があるファクタリングは、滞納処分解消のための有力な手段となります。
税金滞納時のファクタリング活用法
ファクタリングは、法的には民法上の債権譲渡契約に基づくサービスであり、税金滞納を理由に契約を拒否することはできません。
ファクタリングによる資金調達を成功させるためには、売掛金の質（信用力）が重要です。大手企業への請求書など、支払いが確実な取引先からの売掛金を用意できれば、ファクタリング会社は前向きに審査を行うでしょう。
ファクタリングの基本的な仕組み
ファクタリング会社に譲渡された売掛金に対し、ファクタリング会社は手数料分を差し引き、額面の70％〜90%程度の金額で買い取ります。残りの金額は、取引先から入金後に精算されます。
税金滞納中でもファクタリングが利用可能な理由
ファクタリングが税金滞納中であっても利用できる理由は、債権譲渡であるため負債にカウントされないことと、過去の財務状況よりも現在の売掛金の質を重視される点にあります。
「税金を滞納していても、安定した売掛金があれば資金調達は可能」という点が、多くの経営者にとって希望となるでしょう。
ファクタリングに納税資金を調達するメリット
納税資金の調達において、ファクタリングは融資とは一線を画すメリットがあります。
ファクタリングの最大の特徴は、入金までがスピーディーである点です。従来の融資では数週間、あるいは数ヶ月かかることもあった審査が、AIを活用したファクタリングでは、最短数十分で完了することも珍しくありません。
そしてファクタリングは、債権譲渡契約に基づく取引であるため、信用情報に大きな影響を与えることなく、資金調達が可能です。借入れによる信用力の低下を心配する経営者にとって、大きな魅力といえるでしょう。
加えて、ファクタリングは銀行が敬遠しがちな赤字企業でも、安定した売掛金があれば利用できます。黒字・赤字よりも、取引の実態と売掛金の質を重視するため、多くの企業に門戸を開いています。
ファクタリングによって売掛金を迅速に現金化することで、税務署への即時納付が可能となり、滞納処分を回避できるでしょう。
ファクタリングの具体的な利用方法
ファクタリングを適切に活用するには、慎重な準備が不可欠です。
ファクタリング会社の選び方
ファクタリング会社選びにおいて最も重要なのは、信頼性と過去の実績です。財務状況を理解し、適切なサポートができる会社を選びましょう。
選ぶ際には手数料率、営業年数、過去の取引実績、対応可能な業種、レビューや口コミ情報などを参考にするとよいでしょう。
手数料率に注目
ファクタリングの手数料率は低いほど利用者にとって有利です。しかし、手数料率の低さだけを基準に選ぶのではなく、前払い比率や追加手数料の有無、最低取引金額、ペナルティなども比較し、慎重に検討する必要があります。
ファクタリング申込みの手順
ファクタリングを申し込む際には、一般的に売掛金明細、法人登記簿謄本、直近の決算書、取引先との契約書、本人確認書類、印鑑証明書などが必要です。ただし、ファクタリング会社によっては、より少ない書類で申し込めることもあります。
申し込み後は、売掛金と取引先の審査が行われ、審査を通過すると契約が締結され、資金が振り込まれます。現在では1時間以内に入金が可能とうたうファクタリングも登場しており、従来とは全く異なるスピード感での資金調達が可能です。
税金滞納解消後の経営
真の経営改善のためには、ファクタリングによって一時的に税金滞納を解消するだけでは不十分です。長期的な視点に立ち、再発防止のため具体的な対策を取る必要があるでしょう。
再発防止のための資金管理術
資金繰り計画には、精密な収支予測と柔軟な対応力が不可欠です。例えば、月次の収支シミュレーションや複数の資金調達手段の確保、予備費の設定、定期的な財務状況の棚卸しなどが必要となるでしょう。
特に、税金の納付を含めた資金計画は、企業を存続するために綿密に練る必要があります。いつまでにいくら納税するかをあらかじめ明確にし、計画的に資金を確保することが重要です。
税金を遅れることなく納付するには、専用の納税準備口座を開設し、売上の一定割合を毎月自動で積み立てる、四半期ごとに納税額をシミュレーションするといった方法が効果的でしょう。
事業継続のための資金調達
ファクタリングだけでなく、他の資金調達方法と組み合わせて柔軟に利用し、納税資金を確保しましょう。クラウドファンディングや各補助金、助成金、政府系の金融機関の融資なども利用し、資金調達手段を多様化させることで、財務基盤を強固にすることが必要です。
「ファクタリングで納税資金を調達し、滞納処分を回避するには？」についてのまとめ
滞納処分は、経営に深刻なダメージを与えます。財産を差し押さえられるだけではなく、企業の信用を傷つけるため、取引停止などを引き起こし、経営が立ち行かなくなる可能性が高くなるでしょう。しかし、ファクタリングにより資金をすばやく調達し、納税資金とすれば滞納処分の回避が可能です。
事業経営を継続し安定化するには、ファクタリングによって納税を完了させた後、なぜ滞納処分を受けるに至ったかを探り、財務管理を強化する必要があります。ファクタリングを他の資金調達方法と組み合わせ、必要に応じて柔軟に利用するなどうまく活用し、滞納処分を受けることがないよう、資金繰りの悪化を防ぎましょう。
ファクタリングは、税金滞納に苦しむ経営からの脱却を目指す企業にとって、切り札となるでしょう。
